不安症・恐怖症の身体反応の原理とリラクゼーション法による対処と運動習慣による効果
毎日15分のヨガやストレッチ、散歩や軽いジョギングなどの運動習慣が、不安なハラハラ・ドキドキ感を解消して自律神経を整えてくれます
不安や恐怖は、遭遇した危険にたいして「闘争か逃走」の行動を可能にする正常な身体反応です。しかし、その時のハラハラ・ドキドキ感に、過剰反応してしまうことが、不安症や恐怖症に結びつきます。
日常生活で遭遇するハラハラ・ドキドキする不安や緊張の場面を克服するための簡単な方法として、気軽にできる運動習慣が注目されています。ヨガなどの室内ストレッチ、散歩や軽いジョギングなどの運動習慣が、不安や恐怖の時の過剰なハラハラ・ドキドキ感を解消し、自律神経を整えてくれます。不安症・恐怖症の身体反応の原理とリラクゼーション法による対処と運動習慣による効果について、詳しく解説します。
目次
【目次セクション】
1)運動習慣による不安症・恐怖症の克服効果に注目されています
2)誰もが経験する社会生活のハラハラ・ドキドキ感は正常な反応です
3)高所恐怖・ヘビ恐怖などは人類生存のためにDNAに刻印された危機回避の自動反応です
4)警戒アラートは迅速に発令することで生き延びた人類進化のツールです
5)集団生活から排除されることへの社会的不安や対人恐怖も危機回避アラート反応です
6)体験記憶にある類似トラウマ場面にも、脳は危険回避アラートを発令します
7)危機を予測した脳機能は交感神経を優位にし、ストレスホルモン分泌を促し「闘争か逃走」を可能とする
8)直感的な不安・恐怖は超高速で機能する自己防衛のストレス反応です
9)小さな危険にも脳は「不安・恐怖」を感じさせる注意予報の機能が働く
10)危険が小さい場面でも「トラウマ再体験には注意せよ!」の注意予報アラートがでる
11)現代社会の不安症や恐怖症には、危機回避アラートの感度調節が必要です
12)副交感神経を優位にするリラクゼーション効果が「ハラハラ・ドキドキ感」を鎮静化します
13)不安症や恐怖症を克服するための3つのスキル獲得を推奨します
1.自律神経レベルでの対策として、深呼吸によるリラクゼーション法の獲得
2.認知レベルでの対策として、自己暗示の認知修正法によるリラクゼーション法の獲得
3.身体機能レベルでの対策として、自律神経を整えることが可能な運動習慣の獲得
14)運動習慣には不安・緊張感への過剰反応を防く効果があります
1.運動習慣が不安・緊張時のハラハラ・ドキドキ感への過剰反応を抑える
2.運動習慣が自己暗示や認知修正によるリラクゼーション効果を高める
3.運動習慣が深呼吸による副交感神経を優位にするリラクゼーション効果を高める
運動習慣による不安症・恐怖症の克服効果に注目されています
日常生活で遭遇するハラハラ・ドキドキする不安や緊張の場面を克服するための簡単な方法として、気軽にできる運動習慣が注目されています。
長谷川メンタルヘルスケアセンタ-でも、日常生活で気軽にできる簡単な運動習慣をお勧めしています。
それは、本格的な運動習慣でなくても、近所の公園を散歩することや、室内で軽く身体と動かすエクササイズなど、ほんの少しの運動であっても、日々継続していることで気持ちが整ってきたという方々が増えています。
室内で簡単にできる体伸ばしのストレッチ、散歩や軽いジョギングなどの運動習慣が、不安や恐怖の時の過剰なハラハラ・ドキドキ感を解消し、自律神経を整えてくれます。
運動習慣によって、短時間の軽い運動で呼吸数と心拍数が軽く上昇し、不安や緊張時のドキドキ・ハラハラ感の呼吸数と心拍数の上昇にたいして、過剰反応することを身体機能が防いでくれます。
それは呼吸数と心拍数が上昇する変化を運動によって習慣的に作り出し、その身体的な変化に慣れることで、不安や緊張を克服することができるようになります。
本格的なジョギングやスポーツジムでの運動は、主に有酸素運動でもあり、健康な体力強化には最適です。しかし、本格的な運動習慣でなくても、近くの公園を散歩することや、室内での手軽なストレッチでも大きなリラクゼーション効果を得ることができます。
その運動後に身体が平静に戻る時の身体機能がリラクゼーション機能を高めます。それによって、不安と緊張へのコントロール機能が高められることで、不安症や恐怖症などにたいするメンタルケア、不安感の強い抑うつ傾向における心理療法の効果を高めることが可能となります。
参考情報:こころと体のセルフケア:体を動かす(厚生労働省:若者を支えるメンタルヘルスサイト)
参考情報:不安症とは(こころの情報サイト:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
参考情報:心理カウンセリング領域と対処ヒント(長谷川メンタルヘルスケアセンター)
参考書籍:「運動脳」 著者:アンデッシュ・ハンセン、訳者:御舩 由美子、出版:サンマーク出版
参考書籍:「ストレス脳」 著者:アンデッシュ・ハンセン、訳者:久山 葉子、出版:新潮社
誰もが経験する社会生活のハラハラ・ドキドキ感は正常な反応です
日常生活では、身体的な危害を加えられることがなく、安全な場面だと理解していても、何故か過剰にハラハラ・ドキドキする場面に遭遇することがあります。例えば、就職試験の面接場面で失敗しないだろうか、仕事で初対面の顧客と名刺交換する場面で相手に気に入ってもらえるだろうか、大勢の人が集まる場所でプレゼンする場面など、その場で不安と緊張でハラハラ・ドキドキすることは誰にでもあります。
しかし、不採用となる不安感が強すぎて、就職試験を受けられないとか、自分が嫌われれるかもしれないとか、相手に悪い評価をうけないかといった強い不安で、対人コミュニケーションに前向きになれず、人と対面したり、会話したりすることができないなど、対人恐怖の傾向が強まることがあります。
また、過去に失敗したようなトラウマ的な場面を思い出す場合や、同じような場所では強烈な不安に襲われてしまい、その場でうまく対処できずに過呼吸などで切迫してしまうことがあります。
そのような過去の苦しい経験があると、満員電車やバスに乗れない等の広場恐怖症、パニック発作的な不安症などによって、場合によっては自宅から外出ができない状況に陥る場合もあります。
高所恐怖・ヘビ恐怖などは人類生存のためにDNAに刻印された危機回避の自動反応です
日常の生活場面で感じる不安や緊張は、脳が記憶している過去体験が自分にとって生死を危うくすると認識するような不安場面や緊張場面に、再び遭遇することを回避しようとする正常な自己防衛の機能です。
それは、人間が原始の時代から生き延びるためにDNAに刻印されてきた危機回避の反応で、瞬時に機能する脳の自動反応です。その脳機能は、人間が原始の狩猟時代の太古の昔から、どう猛な動物に襲われたり、猛毒をもつヘビやクモに噛まれて死に至ってしまう危険を回避して進化することができた、大切な身体反応です。
さらには危険な崖などの高所に立った時に感じる恐怖感は、落下して命をおとしてしまう危険を回避するために、とっさに生じさせる「恐怖・不安」の感情誘発の機能です。それによって人類は、いくつもの危険を回避しながら生き延びることができ、現代にまで進化してきたといえます。それは危険回避し生存し続けるために必要な、DNAに刻印された、自己防衛の機能だといえます。その自己防衛機能は、現在を生きる多くの人が普通に感じる恐怖心や不安感情であり、危機警報のアラートが自動的に発令されている状態だといえます。
危機アラートは迅速に発令することで生き延びた人類進化のツールです
例えば、原始の時代にジャングルの茂みの葉がゴソゴソ動く様子を見て、強い恐怖を感じることができた人間は、その場からいち早く逃げることで、生き延びることができて、子孫を残し進化したであろう場面を想像できます。
しかし、警戒アラートを出すことなく、不安や恐怖の感情を抱くことなく、平気な感覚でその場所にとどまっていた人間は、もしも茂みに潜んでいた動物がライオンや爬虫類のワニだった場合には、それらの餌食になっていたでしょう。それは、長い人類の進化の間に、敏感に危険を察知できた種族は自然淘汰されることなく、人類が進化してきた歴史だといえます。
集団生活から排除されることへの社会的不安や対人恐怖も危機回避アラート反応です
また、同様に原始の時代から人間が確実に生存するために同種族が助け合い生存するという集団社会を形成して人類は進化してきました。その集団から排除されることは、一人だけで外敵と対峙して生きることを意味し、助け合うことができる集団生活と比較すると、はるかに高い生存リスクに直面することになります。
その不安は、仲間から排除される不安や、孤独になることへの恐怖心についても、DNAに刻まれた危険回避の自己防衛機能といえます。
それは現代生活における仕事でのプレゼンで失敗することへの不安や、初対面の相手が自分を受け入れてくれるかどうかを不安に感じる緊張、さらには現代のSNS投稿に誹謗中傷が集まることへの不安や恐怖も同様だといえます。これらは、集団から排除されることへの恐怖や疎外感への不安です。それは現代を生きる多くの人が普通に感じる緊張感や不安感情であり、自分に迫る集団から排除される危機を警戒するための警報アラートだといえます。
体験記憶にある類似トラウマ場面にも、脳は危険回避アラートを発令します
現代人が日常生活の緊張場面で感じる、「怖い」、「不安だ」、という感情は、人類の進化で獲得した生存のため必要な、危機回避の本能が正常に機能していると解釈できます。
さらには、その感情を自動誘発させる対象となる危機場面は、DNAに刻まれた高所から落下する恐怖やヘビに噛まれる恐怖などの危機場面だけではなく、その人がこれ迄に体験してきた経験的な恐怖・不安を伴うトラウマ体験場面についても、身を守るべき危機対象の場面として脳が学習し記憶しています。
そのような過去に体験した苦しい場面に遭遇すると、過呼吸や心拍数が急上昇しドキドキ・ハラハラしてしまうパニック発作やPTSD的な症状が誘発される状況も、自己防衛のための警戒警報のアラートが発令された状態と解釈することができます。
それらの対象場面は、交通事故や事件被害による恐怖体験、家庭における児童虐待による恐怖体験、学校イジメによる仲間から排除・疎外された悲しくつらい体験の場面など、緊張や不安、悲しみやむなしさの感情を想起させる過去場面は、回避すべき危険な状況として脳が直感的に判断しているといえます。
参考情報:虐待体験のトラウマ克服ケア(長谷川メンタルヘルスケアセンター)
危機を予測した脳機能は交感神経を優位にし、ストレスホルモン分泌を促し「闘争か逃走」を可能とする
それは、脳が記憶している恐怖の体験場面と似ている場面に遭遇すると、脳が危険回避の警報アラートを発出することになります。
その結果、その場面から回避すべき「危険な場面」だと瞬時に判断して、不安や恐怖の感情が湧き出し、自動的に呼吸が浅くなり心拍数が上昇し、血管を収縮させ血圧が高くなり、「ドキドキ・ハラハラ」感が高まり、その場で「戦う」か、それともその場から「逃げる」かの行動を可能にするために、自立神経の交感神経を優位にし、ストレスホルモンのコルチゾールをはじめとするストレスホルモンの分泌を活発にする生体機能がフル稼働することになります。
ただし、その場の状況を深く分析することなく危険回避のアラートが発出される誤検知や過剰発令のケースもありえます。
直感的な不安・恐怖は超高速で機能する自己防衛のストレス反応です
人類の進化で獲得した警戒アラートは、スピード第一優先で、直感的に発出されます。そのため、危機回避のための行動は非常に迅速に対応することができます。それは瞬時に超高速で発令されるため、大脳を経由することなく感情を誘発し、瞬時に反応しています。
それは、大脳で危険か否かを深く考えて、その判断結果に基づき、危険な場合には行動を起こすという、大脳の思考回路を経由していたのでは、危険を回避できない場合があるため、スピード第一で警報を発令しています。そのため、その警報が誤報となり空振りすることもありますが、大切なのは数パーセントであっても危険性がある場合には、スピード最優先で、直感的に危険アラートが発令されたことで、人類が進化することができたといえます。
大脳の思考回路を経由する場合には、体の感覚器官が危険を察知し、分析して、対応方法を検討し、対処行動に起こすという、知覚ー認知―解釈―検討ー行動という、多くの所要時間が必要になるため、瞬時に「闘争か逃走」の行動にでることができません。
しかし、第六感的な感覚で不安や恐怖を感情として感じることで、はるかに早く短時間に行動を起こすことが可能となります。それは、直感的な行動といえるもので、生存の危機に直面した時に「恐怖・不安」という「感情」を自動的に引きおこすことで、瞬時にその場での危機対応が可能なように、自律神経に作用して身体機能を高めるように機能します。
それによって、その直面した危険な相手と戦うか、それともいち早く逃げるかの迅速な行動を可能としてくれています。
小さな危険にも脳は「不安・恐怖」を感じさせる注意予報の機能が働く
脳による危険予測の推測機能は、いま体験している場面が過去に遭遇した緊張や不安に襲われた場面と似ているの場所・時間・環境に直面した時であっても、過去と同じ高いレベルの危機に直面する可能性があると判断してしまいます。
しかし、よく考えてみると、その場面は何ら危険性はない場面であっても、恐怖や不安を強く感じてしまうことが、往々にしてあります。例えば、動物に襲われることがない安全な動物園の檻の前で、ライオンやヘビを見ている時でも、ドキドキ・ハラハラする恐怖や不安を感じます。その場面では、檻からライオンが飛び出してくることがありえないことが、頭で理解できていても、恐怖感覚が自動的に想起されます。
それは人類進化の歴史がDNAに刻印された危険な動物だと脳が記憶していることによるものです。それは、大脳で熟考すれば問題ない安全な場面だと判断できる状況場面であっても、脳は念には念をいれて危険な対象物が目の前に存在しており、最大レベルの危険ではないけれと、とにかく危険リスクが存在する場面だという反応を示します。
それにより、動物園でライオンやヘビを見ると、警戒すべき危険な対象物が存在しているという注意予報レベルの警戒アラートを瞬時に発令することで、ハラハラ・ドキドキ感が誘発させられていると考えられます。
危険が小さい場面でも「トラウマ再体験には注意せよ!」の注意予報アラートがでる
警報アラートは、DNAに刻印された恐怖場面とあわせて、過去に強いストレスをうけた場面と同様の場面に遭遇した場合にも注意予報としてアラートが発令されます。
それは再び同様の危険に遭遇する可能性がゼロとはいえない場面だという注意予報のレベルです。
そのことは、危険性が小さくても再発し遭遇してしまうリスクが残っていると評価して、脳は念には念をいれて危険が潜んでいるリスクがあるという注意予報レベルとして、気をつけるように促します。
しかし、人によっては、脳が自動的に発動する「恐怖・不安」感情が小さいレベルの注意予報であっても、それに過剰に大きく最大の危険が目の前に迫っているのだと、過剰反応してしまうこともあります。
それは、瞬時に超高速スピードで自律神経をはじめとするストレスにたいする生理的な自己防衛の身体機能が直感的に発動されているためです。それは危険性レベルが非常に高い生命の危機が迫っているのだと、誤って認識していることや、小さな危険性に脳が過剰に反応している状態にあるといえます。
そのような過剰に反応してしまった場合には、そのドキドキ・ハラハラ感に、過剰に反応しないために、その場でのリラクゼーションが得られる対処と、この場面は心配することのない、安全な場面なのだというメッセージを脳に伝えてあげることで過剰反応をコントロールする対応が必要です。
現代社会の不安症や恐怖症には、危機回避アラートの感度調節が必要です
現代社会の私たちは、研ぎ澄まされた敏感な危機回避のアラート機能によって、太古の時代を生き延びてきた進化した人類の子孫です。
そのことで、現代人の多くがもっている一般的な普遍的恐怖といえる高所恐怖やヘビなどにたいする根源的な恐怖を理解することができます。
しかし、過去に自分が体験してしまった恐怖や不安のトラウマ体験記憶で、パニック発作的な強度の不安に襲われる場合には警戒アラートの感度が敏感すぎることにも一因があると考えられます。そのためには、今の遭遇している場面は安全なのだという認知修正で、その感度レベルを引き下げてあげることが必要です。
例えば、航空機に乗れないとか通勤列車に乗れないとか、エレベータに乗れないなど、日常生活に支障をきたすほどに、特定の場面で、強烈な不安が生じる場合には、過剰に危機回避の警報アラートが生理的に反応して、間違って発令されている恐れがあります。
副交感神経を優位にするリラクゼーション効果が「ハラハラ・ドキドキ感」を鎮静化します
大脳で熟考すれば安全だと判る場面であっても、生命の危機を脱するための対応にはスピードが最優先されます。そのため、安全な場面を、危険場面だという誤検知する場合や、小さな危険性にたいして大きな危険があるという過剰反応している場合には、その警報アラート発出レベルを調節することや、過剰反応しないための調整が必要です。
その場面には、危険回避する必要はなく、安全な場所なのだという、繰り返しの学習が必要となります。
その警戒アラートの発出レベルを調節する方法として、深呼吸法、認知修正法、自己暗示法、マッサージ法、皮膚タッピング法、等によって、不安や恐怖感情が表出した時、その場における症状に対処することが必要です。
それは対症療法であっても、有効に作用することができ、自律神経の副交感神経を優位にするリラクゼーションで気持ちを整え、警報アラートの発出レベルを調整することが可能となります。
不安症や恐怖症を克服するための3つのスキル獲得を推奨します
不安や恐怖の場面で、自動的に自立神経の交感神経が優位になり「闘争か逃走」の緊張モードに入った時に、その場で対症療法的に、その不安・恐怖感情をコントロールし、ブレーキをかけることが必要です。そのために、身につけるべきスキルとして、深呼吸のスキル、認知修正のスキル、そして簡単な運動習慣のスキルです。これら3つのスキル獲得を獲得することをお勧めします。
推奨1.自律神経レベルでの対策として、深呼吸によるリラクゼーション法の獲得
深呼吸は、その場で心身を落ち着かせる効果がとても大きな対処方法です。不安症、恐怖症におけるハラハラ・ドキドキ感をコントロールするために獲得する対策スキルとして、効果的な、深呼吸によるリラクゼーションのスキルを獲得していただくことが有効です。
推奨2.認知レベルでの対策として、自己暗示の認知修正法によるリラクゼーション法の獲得
緊張する自分に言い聞かせる自己暗示の言葉による認知修正のスキルを身に付けることで、安心な気持ちを、全身に引き出すことができます。
推奨3.身体機能レベルでの対策として、自律神経を整えることが可能な運動習慣の獲得
緊張したハラハラ・ドキドキ感を自動的に整えようとする生体機能を高めることができる運動は大きな効果があります。それには、近所の散歩やヨガなど室内エクササイズなどの運動の習慣を身に付けることが大切です。
それによって、自律神経を整えるリラクゼーション効果を飛躍的に高めることが可能となります。
運動習慣には不安・緊張感への過剰反応を防く効果があります
常日頃からの運動習慣によって、呼吸数や心拍数の増加するハラハラ・ドキドキ感に慣れておくことで、生体レベルで不安や緊張を克服することが可能となります。
それは、本格的なジョギングや高度なヨガの修練などでなくても、大丈夫です。軽いお散歩でも、ちょっとしたエクササイズでも運動効果があります。
それは、わずかな危険レベルの場面にたいして、脳が重大危機だという間違った判断をした時、自動的に身体反応として呼吸数や心拍数が増加します。しかし運動習慣によってそハラハラ・ドキドキする不安や恐怖を感じた時と同様の身体反応の変化に慣れることができます。それは運動によるハラハラ・ドキドキ感の訓練といえます。その運動による訓練効果で、不安や緊張した時のハラハラ・ドキドキの変化に、過剰に驚くことなく、自分をコントロールすることが可能となります。
それは、動物園で檻から飛び出すことが絶対にありえないライオンを見た時に、強烈な恐怖に襲われたとしても、不安でパニックにならずに、「ライオンが飛び出して、襲いかかることは決してありえない、大丈夫だ」と冷静に判断し、そのメッセージを冷静に自分に伝えることができます。
効果1.運動習慣が不安・緊張時のハラハラ・ドキドキ感への過剰反応を抑える
近所の公園を散歩するなど、日常的なちょっとした運動によっても、自律神経の交感神経が優位な状態となります。それは、不安や緊張した時と同様に、呼吸数と心拍数が若干であっても上昇します。その上昇変化に、身体を慣れさせることで、不安や緊張で呼吸数や心拍数が急上昇しても、ハラハラ・ドキドキ感に過剰反応することがなくなります。
それによって脳は、不安・緊張感情を誘発させる必要がない、安全な場面なのだという事を繰り返し学習することができます。そのことで、不安・緊張感をコントロールすることが可能とになり、これまでの過剰反応を克服することができるようになります。その結果、その場面は危険回避する必要はなく、安全な場所なのだという論理的な解析情報を、脳に効果的にインプットすることができます。
効果2.運動習慣が自己暗示や認知修正によるリラクゼーション効果を高める
運動習慣によって、身体が過剰反応しないことで、その場で冷静に余裕をもって対処することが可能となります。
それにより、その場におけるハラハラ・ドキドキした不安・緊張を鎮静化させる自己暗示や認知修正法によるによるリラクゼーション法による効果が飛躍的に高まります。そして、潜在意識に働きかける自己暗示の言葉がけで、マインドコントロールの自己暗示を習慣化して、脳に定着させることができます。
効果3.運動習慣が深呼吸による副交感神経を優位にするリラクゼーション効果を高める
運動による身体的な変化は、不安や恐怖場面と同様に、自立神経の交感神経を優位にします。それは能動的に運動というエクササイズを実施し、その運動をした後の休息には心地よい爽快感や、気持ちの落ち着き感などの、運動後の気持ちよさを得ることができます。
そのリラクゼーション効果は、運動で上昇した呼吸数や心拍数を元に戻し、平常の身体活動に戻ろうとする時に得られるリラクゼーション効果です。
それは、運動後に自律神経の副交感神経を優位にする生体反応が自動的に活発に機能している状態といえます。運動後に味わう爽快感は至福のリラクゼーション・タイムといえるもので、前頭葉の脳機能がフル活動している状態といえます。その時間には、これまでネガティブに受け止めていたストレス源の悩み事にたいする新たな解決策が得られたり、問題へのポジティブな受け止め方への閃きが湧いたりするなど、認知修正の新たな気づきが獲得される瞬間でもあります。
それは、不安・緊張時にリラクゼーション効果効果を得るために、意識して実施する深呼吸で気持ちを落ち着ける時と同様の効果反応が、運動した後に動的に身体反応として機能しているといえます。
長谷川メンタルヘルスケアセンターでは、クライアントの方々が心理カウンセリングで、深呼吸、認知修正、運動習慣という、3つのスキルを獲得していただき、不安症、恐怖症などによる日常生活の困難さを克服し、一日もはやく幸せな日々を取り戻せるように、継続的なサポートをすることで皆様のお役に立てることを心から願っています。
執筆者紹介
長谷川メンタルヘルスケアセンター
日本心理学会 正会員 国家資格 公認心理師
代表カウンセラー: 長谷川 裕通
出版書籍一覧
参考引用文献:
・ストレス脳 著者:アンデッシュ・ハンセン、訳者:久山 葉子、出版:新潮社
・「心の病」の脳科学〈なぜ生じるのか、どうすれば治るのか〉 著者:林 朗子、加藤 忠史 共著、出版:講談社
・睡眠の科学〈なぜ眠るのか、なぜ目覚めるのか〉著者:櫻井 武 出版:講談社