悩みをすぐに解決できる「セルフ心理カウンセリング」の要領解説
悩みごとでストレスを抱えてしまったら「セルフ心理カウンセリング」で悩みの糸をスピーディーに解きほぐせます
同じ問題に直面するクライアント同士が話し合う形式で開催される講習会や「〇〇〇から抜け出せるセミナー」などの、悩みを抱えるクライアント向け集合セミナーなどに参加しなくても、安心安全で、悩みをすぐに解決できる「セルフ心理カウンセリング」の要領を解説します。それは、悩みが生じた初期段階で即座にストレス源を第三者の視点で客観的に分析し、ストレスを受けない考え方へと修正し、最適な解決策を抽出・採用し、それを実践する方法です。これは心理カウンセラーによる認知行動療法のプロセスを、クライアント自身がセルフで実践できる心理カウンセリングのエッセンスです。
目次
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1)もっと早く知りたかった「セルフ心理カウンセリング」のテクニック
2)クライアント向けスキル獲得講習会やセミナーには十分な注意が必要
3)悩みが生じた早い段階で効果を発揮する「セルフ心理カウンセリング」
5)悩み事を客観的に分析し、その解決策を抽出する「セルフ心理カウンセリング」
6)「セルフ心理カウンセリング」の実施テクニック
(1)状況把握ステップ
(2)悩み分析ステップ
(3)認知修正ステップ
(4)行動修正ステップ
(5)効果測定ステップ
もっと早く知りたかった「セルフ心理カウンセリング」のテクニック
長谷川メンタルヘルスケアセンターにご相談に来られるクライアントの方々にお伝えしている「セルフ心理カウンセリング」について、「もっと早く知っていたら、これほど悩みが長期化することはなかった。」というお声をたくさん頂きます。今回、その「セルフ心理カウンセリング」を多くの方々に活用いただけるよう、そのスキルを獲得し実践する方法について、具体的エッセンスとなる実施要領と注意点についてご紹介します。
また最近、来訪されるクライアントの方々が体験したという、注意すべき情報があります。それは、悩みを抱えるクライアント向けに開催される、各種のスキル獲得講習会やセミナーの危険性やそのリスクについて、十分に注意すべき点についてご案内します。
参考情報:長谷川メンタルへスルケアセンター相談領域とケア方法
クライアント向けスキル獲得講習会やセミナーには十分な注意が必要
民間団体が主催する場合には、比較的に高額で多くのリスク懸念があるため参加する場合のリスクについて認識していただくことが必要です。それらは、悩みを抱えるクライアント向けに、「〇〇スキル獲得セミナー」や「〇〇催眠講習会」、「〇〇障害セミナー」、「〇〇障害の会」などと称して、民間団体のホームページやSNSなどで、同じ問題を抱えるクライアントの方々を集めて、相互に相談し合う集合形式のセミナーや講習会に参加する場合には注意が必要です。
同じ悩みを抱えるクライアントを集めて開催する、クライアント向け講習会やセミナー形式の集合講習に参加する場合には、そのリスクを認識しておくことが必要です。そこでは、悩みや問題を持つ当事者のクライアント同士が集いサポートし合う、ピアカウンセリングやピアサポートはメリットとデメリットがあります。特に、民間が経営する収益目的の団体などが主催する場合には注意すべきで、もし参加する場合には、信頼できる国や自治体の機関、総合病院などの信頼できる機関が開催するものに限定することが必要です。
参考情報:「精神科医療機関におけるピアサポートの現状と活用に関する調査 調査結果報告書」厚生労働省調査報告書 (R4年3月)
悩みが生じた早い段階で効果を発揮する「セルフ心理カウンセリング」
セルフ心理カウンセリングは、悩みが生じた早い段階での初期対応において有効な問題解決の手法です。しかし、抱える悩みが複雑で解決が難しい場合や、悩みが長期化してしまった場合には専門的なカウンセラーによる心理カウンセリングを受けることが必要です。「セルフ心理カウンセリング」は、あくまでも、初期段階に早期解決への取組みをセルフで実施する場合に有効な手段です。
悩みで気持ちが落ち込でしまったとか、あれこれ考えてしまい睡眠が十分にとれない状態などの、悩みの初期状態には誰かに相談することや、専門的な心理カウンセリングで悩み事への根本解決を図ることが必要です。しかし悩みの根本解決に取り組むことなく、すぐに医療クリニックで処方される睡眠薬や抗うつ剤に頼ってしまうことは、お薬による副作用リスクの危険性にさらされることになります。悩みストレスの初期段階から、投薬治療を優先してしまうことは副作用リスクに長期的にさらされる危険性があります。まずは心理カウンセリングが必要です。悩みストレス原因への根本解決を後回しにしてしまうと、悩みからくるストレスが長期化する恐れがあります。
悩みストレスの第一処方薬は「セルフ心理カウンセリング」
欧米諸国の精神医療先進国では、悩み事ストレスへの初期段階には、副作用リスクのある投薬治療ではなく、身体に安全な心理カウンセリングが第一処方となっています。欧米諸国の医療機関では、最初から副作用、リスクのある精神治療薬による投薬治療は控えられています。日本においても本来は、複数薬の多剤処方や長期投与は、医療診療報酬のしくみ上の制限があります。
悩みストレスの初期段階では専門家による心理カウンセリングをスピーディーに受けることや、問題解決の「セルフ心理カウンセリング」による問題解決を優先させることが身体に安全な選択肢です。
その事から、悩みの初期段階に、その困り事による悩みが深まる前に、その悩みから早く脱出するための対策といえる「セルフ心理カウンセリング」を実施し、認知行動修正プロセスを自分自身に適用することは、メンタルヘルスを維持するために、より有効な日常的スキルを獲得・向上させることに結びつきます。
悩み事を客観的に分析し、その解決策を抽出する「セルフ心理カウンセリング」
「セルフ心理カウンセリング」の実施方法を習得するために、高額な講習会や研修会に参加する必要はありません。それは、誰もが日常的に無意識で実施している問題解決手法と同じものです。
悩みを抱える問題が生じた場合に、冷静になることと、客観的になることは、その問題を解決するための対策を立案する上では、とても重要です。
その場合に意識すべきことは、感情を冷静にコントロールすることが必要です。カッとなって感情的にならないように、腹立たしさを感じた場合には、ひと呼吸おいて、怒り感情のままで返信メールを返さないこと、その場をいったん離れるなど、冷静になって、対処することが必要です。また、寂しい感情がこみ上げてきた場合には、その感情を無視することなく、自分自身に共感してあげて、自分を支える言葉を自分にかけてあげることが必要です。
それによって、客観的に第三者の視点で、置かれてしまった自分自身の状況を、自分から離れた目線で眺めるように、客観的に分析することが可能となります。
「セルフ心理カウンセリング」の実施テクニック
「セルフ心理カウンセリング」の実施方法を習得するために、高額な講習会や研修会に参加する必要はありません。それは、誰もが日常的に無意識で実施している問題解決手法と同じものです。
具体的には、下記の手順で、悩みの初期段階に速やかに実施できます。ぜひとも、日常生活でストレスを受けないためのテクニックとして、「セルフ心理カウンセリング」を習得していただき、職場、家庭、学校などで、フルに活用してください。
(1)状況把握ステップ
悩んで落ち込んでしまった自分のメンタル状態を第三者的に客観的に把握する
(例:相手は「私が大きなミスを犯したした」と責めてきた。その言葉で私は傷ついてしまった。誰も助けてくれないと感じる。)
(2)悩み分析ステップ
悩みの種となっている困り事の本質(問題点)を客観的に分析する
(例:相手は、私が困っている現状を認識しているのに、支援をすることなく、非難している)
(3)認知修正ステップ(受けとめ方修正)
自分を楽にする別の受けとめ方を探し出し、その受けとめ方の考えを自分にインストールして認知修正する
(例:そのミス・失敗は、私の責任だけではない、チームとして周囲は協力する責任がある。私を非難する相手は、責任を押し付けている状態にある。)
(4)行動修正ステップ(解決策の実践)
現状の困りごと・悩みごとから抜け出す対策としての解決策を考えだし、それを実践する
(例:私を非難する相手には毅然とした態度を示し、他の周囲の人や責任者に、私の困り具合を相談して、協力を求めて働きかける。)
(5)効果測定ステップ(改善PDCA)
実践した対策の効果を評価して、解決策の軌道修正をして、PDCA(Plan-Do-Check-Action)の改善プロセスを廻す
(例:対策としての解決策を実践して、その効果を評価し、さらに解決するための解決策を継続して周囲に相談する。)
注意を要する民間の心理相談室が開催する「クライアント集合講習会」
民間の心理カウンセリング団体が開催する「確実に悩み解決が可能なカウンセリング講習会!」、や「〇〇〇スキル獲得の講習会」などがありますが、それらの受講には特に注意が必要です。それらの多くは、一人のカウンセラーが多数のクライアントを一斉に集めて、心理カウンセリング的講習会を開催することが、経費効率の観点で収益性が高いために、企業経営の観点を優先して、悩みを抱えたクライアント向け講習会やセミナーを開催する民間団体が多くあります。
例えば、独自に開発したという悩み解決手法のメソッドが習得できる講習会と称して、悩みを抱えたクライアントを一同に集めた数万円程度から、催眠治療と称して数十万円の高額受講料の講習会などあります。そこでは、受講者同士がピアカウンセリングを実施してお互いの悩みを相談し合うというプロセスが含まれる場合や、自分の悩み事に関する秘匿性が高い個人情報を他の参加者と共有することで、他の参加者から外部流出する個人情報流出リスクが生じます。
また、講習会で知り合った悩みを抱える受講者同士が、その後もお互いに連絡を取り合い、同じ悩みに共感しあい、相談しあうことで、ネガティブ感情が加速されてしまう危険な精神状態を誘発する危険性が高くなります。その結果、二人で悲しい結末を選択してしまったという事件報道が多くあります。悲しい事件に進展してしまう危険性があります。
気軽に利用できない日本の心理カウンセリング業界の実状
現在の医療保険が適用されないことで、民間心理カウンセリングルームの経営には難しい現状があります。それは利用者にとっても高額料金となる心理カウンセリングを気軽に受けれない日本の現状をまねいています。そのことは、正規な国家資格を取得するカウンセラーの職業自立の困難さにも現れています。それは、大学院の修士課程を経て獲得した国家資格の公認心理師などの臨床心理職が、医療施設での正社員として採用されることは極めて珍しい状況にあり、多くは単年度契約の有期雇用契約社員か、業務委託契約です。その背景には、心理カウンセリングが医療保険の適用が難しく、医師が施設内で実施する場合などの条件があり、5分診療のクリニックでは医師が時間をかけて心理カウンセリングを実施することは皆無です。そのため、採算コストに見合わない心理職員を正社員として採用されることは無いに等しいといえます。
その結果、心理職分野では正社員就職して家族を養って自立することは非常に困難な現状にあり、男性の心理資格保有者の多くは、心理職での経済的自立は困難なため、心理職を諦めて他の業界分野スキルを身に付けて、正規社員として採用され、心理職を断念するケースが圧倒的に多くなります。その結果、心理職は圧倒的に女性比率が高い現状にあり、生計を共にするご主人の経済的基盤のもとで、兼業主婦としての立ち場で心理職スキルを発揮している女性が圧倒的に多いという、女性優位の業界の現実があります。
そのことから、大学院を卒業して、国家資格の心理カウンセラー資格を保有していても、心理職としての職業自立を断念する者が多く、民間の独立した心理相談室は、心理職員の人材不足の問題と、心理相談業務だけでは経営が苦しい現状があります。
その結果、危険なリスクのある講習会セミナー経営にシフトする団体や、競争入札で地方公共団体の職員向けカウンセリングを超低料金単価で受注するなど、心理カウンセリング業界の経営環境は、非常に厳しい現状にあり、介護業界の経営者と働く方々と同様の困難さに直面しています。
今後、欧米諸国のカウンセリングルームのように、心理カウンセリングに医療保険が適用されること、精神疾患の治療が投薬治療から心理カウンセリングが第一処方として社会的にシフトすることで、利用し易い心理カウンセリングが身近な存在となるよう、社会環境の改善が望まれています。
長谷川メンタルヘルスケアセンターは、営利目的ではなく、ボランティア活動として、一人でも多くの方々が健康で幸せな日々を取り戻していただけることを目的に活動しています。
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