■うつ病や心身症と診断されたら休養が第一

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うつ病心身症と診断されたら、とにかく第一に休養を取ることが必要です。背景には、お仕事の繁忙期などの残業が続き睡眠時間が不足することや、お仕事や家族の問題を抱えて常に頭から離れない状態で気が休まることがない緊張状態が長期間続くことや、学校などでのイジメを受けていることで常に気持ちが落ち込んでいる状態や、本来は心身を休養できる家庭において親や兄弟から暴力を受けている状態で常に不安感や恐怖感を抱きながらの生活を強いられている場合、あるいは過去のイジメ被害で自分に自信に持てずに自己嫌悪に陥ってしまい人と接することが苦痛となり対人関係に大きなストレスを抱えてしまっている状態、等々さまざまな背景あります。

■投薬は対処療法・・・たより過ぎない

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現在の医学ではうつ病や双極性障害などの気分障害の発症メカニズムは明らかになってはいない点が多く、慢性的なストレス状態が原因となって脳神経伝達物質のセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどのバランスが結果的に変化するといわれており、すべての気分障害にたいして投薬治療は気分の落ち込みを防ぐという治療といえます。そのため欧米の医療現場では、初期の抑うつ傾向を示すクライアントには投薬治療を第一処方とするのではなく、生活面でのストレスを軽減させる心理カウンセリングによるメンタルヘルスケアを第一の処方とする諸外国が増えています。さらに、投薬治療自体のお薬自体数年ごとに新薬が開発され、医療現場に投入されています。しかし、すべての精神治療薬において臨床データの積み重ねの収集と検証が重要な位置づけにあり、数年前に新薬登場としてもてはやされたお薬が、現在では依存性などの副作用が問題視された結果、処方が禁止されたり、精神治療薬の多剤服用による相互副作用の危険性が指摘された結果、特に高齢者には多剤服用が禁止されたりしている医療先進諸国が増えています。世界的な巨大ビジネスといわれる製薬会社の開発競争もあり、つねに新薬が開発され医療現場に投入され、その投薬効果・副作用の臨床データの収集・検証が長期的に継続されています。そのため長期的な服用や多剤を併用しての服用には慎重になるべきであるとのガイドラインが世界的な潮流となっています。

■心理アセスメントでストレス原因を明確にする

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うつ病や心身症などの気分障害には投薬治療で気分の落ち込みを防ぐことと同時に最重要なことは、早期の十分な休養とあわせて認知修正や対処スキルの獲得です。たとえば、その休養を取るためにも考えを変化させるための認知修正のスキルが必要です。たとえば、多忙な職場なのでこの時期に休養を取ると、周りに怠け者と思われないか、そのくらいの事は誰でも乗り越えている自分はもっと頑張るべきだ、などいう考えがあると更に自分自身を追い込むことになり、さらに病状を悪化させることになります。例えば、昇格のタイミングなどでありがちなケースとしては、仕事を断ると昇格のチャンスを逸することになり、過剰に仕事を引き受けてしまうことがあります。このような場合は、周囲をうまく活用するために関係者をうまく巻き込む形で仕事を分散して一人で抱え込まないための周囲調整スキルや、そもそも仕事を安請け合いすることなく、その仕事を引き受けると過剰業務となることを客観的に示し、引き受ける上での諸条件を提示し仕事の平準化を図るなどの交渉スキルも必要です。また家庭や学校などでイジメ被害にあっている場合には、暴力や非常識な言葉は犯罪行為であることの認識のもとに、そこから抜け出すための公的機関の協力者を得る対応が必要となります。さらには、過去の暴力被害や事件事故に巻き込まれた結果のトラウマ体験の影響でPTDS的な恐怖や不安感が常に襲われる場合には、トラウマケアが必要です。

■心理療法でストレス回避のスキル獲得

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心理カウンセリングの方向性についてですが、まずはストレスケアが可能な技法をお伝えします。休養をとりながらセルフで、安らぎを得られるような脱感作的なストレスケアの各種方法について、その方法をお伝えします。そのうえで、現在のストレス状況について確認し、何が原因でストレスが継続しているのか、などについて、現状の精神状態と現在と過去の心理的イベントについてインタビューで心理アセスメントを実施します。そして、ストレスとなっている生活場面を克服できる新たなスキルを獲得するために必要なスキル獲得に向けたトレーニングを実施します。生活面でのストレスを軽減させることを第一の処方としている先進国が増えており、仕事場面や学校での自己主張スキルや対人関係スキルを向上させることや、人間関係における物事の受け止め方である認知の方法を変化させる認知行動療法、さらには職場における対人関係構築スキルを身につけること、組織内の協力者を探し出し問題を解決する組織的に問題解決スキルを身につけることを目指してます。しかし、第一に実施することは休養をとることを罪悪と受け止めない認知修正です。そして、投薬治療の役割は落ち込んだ気持ちを高める作用のある抗精神病薬の服用であり、投薬で全てが解決することはなく、根本的な改善としては、ストレスを受けず、ストレスを蓄積しない、対人関係スキルや仕事スキルを身につけることです。これが、根本的な解決を目指すことが心理カウンセリングの役割であり方向性といえます。

参考情報(国立精神・神経医療研究センター こころの情報センター):うつ病|こころの病気を知る|メンタルヘルス|