あなたの職場ストレスから緊急脱出できる確実な手順

職場ストレスからの緊急脱出

職場ストレスとなる困難な問題から脱出できるセオリーを活用しましょう

 職場のストレスから脱出する方法にはセオリーがあります。それを活用して、ストレスを回避することが可能です。自分自身の仕事における困難な場面を克服しつつ、自分の最高のパフォーマンスを発揮するために、一般的な業務問題の解決手法をストレス対策にセオリーとして応用できます。このセオリーをうまく活用して、職場のストレスを回避しましょう。

職場ストレス緊急脱出の基本三原則(戦うか、逃げるか、調整するか)

 長谷川メンタルヘルスケアセンターでは、多くのビジネスパーソンへのストレスケアに関するご相談にも対応しており、コロナ禍以降のテレワークへの対応やオフィス勤務への回帰など、コロナ禍で就業環境が大きく変化したことによる職場ストレス急増に関わるご相談が増えています。そこではオフィスワーカーとしての心身の健康を保つためのスキル獲得を目指していただくために、職場ストレスから緊急脱出するための「ストレス対処基本三原則」※1をお伝えしています。それは、職場でのストレスに対する対処方法の選択肢といえるもので、職場で遭遇するストレスにたいして、①戦うか、②逃げるか、③調整するか、の3つの対処方法です。この選択肢は、自分自身を守るために必要な対処方法の選択肢であり、人間が原始の時代から持っている危機にたいする生存本能そのものです。それは恐ろしい外敵から身を守るために、必要な対処方法の三原則といえるもので、普段の生活では無意識的に実施されており、その手続きを遂行する能力は、人間として備わっている本能的な危険回避の能力といえます。それは、現代の職場ストレスから身を守るために必要な、最適な方法を選択するための3つの選択肢で、その時々の状況に応じて最適な方法を選択することになります。これは日常の全てのストレス対策にも適用可能な選択肢といえます。

※1:職場ストレスから緊急脱出するための基本三原則:
長谷川メンタルヘルスケアセンター代表の長谷川が提唱している心理的用語で、人間が原始の時代から本能に基づき自然界で生存するために必要としてきた本能的行動原則であり、認知行動心理学に通じる考え方として独自に命名している用語です。それは、全ての日常生活におけるストレス場面でのストレスに対処する方法として活用可能な基本的な3つの選択肢といえるものであり、「戦う」か、「逃げる」か、「調整(交渉)する」かの、3つの選択肢としてのストレスケアの対処の基本原則です。

職場ストレス

職場ストレスに「戦う」とは

【戦う】とは
 職場におけるストレス源と戦うことは、戦って勝てる見込みがある場合の対処方法です。自分よりも力のある相手と戦うにはそれなりの戦法が必要なため、簡単なことではありません。例えば直属の上司がストレス源の場合に、その上司に直接の戦いを挑んでも、勝てる見込みは少ないといえます。また、組織経営者による就業規則などの組織制度の問題などの場合に、自分自身が経営陣などの立場によっては改革が容易な場合もありますが、一般職の一人の従業者が組織全体の就業規則を変化させる大改革は困難であり、働く人にとって優しい職場環境への改善整備をすぐに実現させることは容易ではないといえます。そのことから、一人の従業者として目の前のストレス源に戦いを挑める範囲は限られているといえます。例えば、常に非常識な言葉を投げかかる同僚や上司がストレス源となっている場合には、その非常識な言葉がけをやめるように、直接はっきりと相手に伝えることが「戦う」に該当します。それによって自分への、非常識な言葉がけを改めてもらうことが、戦うという対処方法といえます。また、上司から理不尽な業務指示を受けた時に、自分の業務が繁忙状態であることをうまく説明し、自分にとってはその指示を受けることによって、組織としての業務停滞などの問題が生じる恐れがあることや、自分の業務ミスによる問題が生じる恐れがある等の理由を提示して、その業務指示を断ることも「戦う」ことの範疇に該当するといえます。

職場ストレス源と戦う

職場ストレスから「逃げる」とは

【逃げる】とは
 目の前のストレス源から被害をうけないように、その場からとにかく離れることを意味します。しかしその場から離れることや逃げることが許される状況で、それが可能な場合に限られます。例えば、直属の上司から理不尽な業務指示や問題発言を受けている途中で、その場から逃げ出すことは難しいといえますが、相手が発言している間は我慢し、その発言が終わったタイミングを見計らって、すぐにその場を離れることもストレス源から逃れる、離れることと同様にストレスを軽減することに結び付きます。さらには、社内の他部署の特定人物がストレス源の場合には、なるべくその部署に関わる業務に携わらないことや、物理的にその部署に近づかないなどが該当します。また永続的に距離をおく方法として、上司や人事に職場の異動を願いでることや、退職して転職することを目指すことも「逃げる」ことに該当します。

職場ストレスと「調整する」とは

【調整する】とは
 ストレス源に対して直接的に戦うのではなく、相手が納得できるように相手に交渉したり周囲にたいして間接的な調整の働きがけしたりすることで、自分たいするストレスを軽減しようとすることです。それは技術的にやや高度なコミュニケーション・スキルが必要となることと、交渉や調整することで改善される見込みの有無を事前に判断して、見込みがあると思われる場合に限られます。例えば特定相手からの問題行動で日々のストレスが大きい場合に、相手が自分の非常識さに気づき反省してくれるような人であると判断できる場合には、相手が受け入れてくれるように行動変容を促すために、相手のプライドを傷つけずに、緩やかに直接的にお願いすることや、本人が変化してくれるように相手の上司にたいして改めるように指導してくれるように、それとなく自分のストレス状況を相談したり、人事総務系の社内相談窓口に相談したりすることなどが該当します。また、組織的な社内規定の問題やより働きやすい職場改善の要求事項として、管理者や経営者に交渉したり、近年注目される顧客からの理不尽なカスタマーハラスメントなどには組織対応が求められるため、カスタマーハラスメント組織対策について同僚と議論しそれらの問題についての認識共有を形成することで、組織的な改善活動を促す機運を醸成する活動などが該当します。

職場ストレス脱出の戦略的ポイント

 1.【状況に応じた最適案を選択すること】
 最初に実施すべきポイントは、基本三原則の対処方法の中から、「その状況において最適と思われる対処方法」選択し決定することです。例えば、勝てる見込みがある時には身体的に興奮して怒りを表現して相手に向かっていき戦いを挑む場合もあれば、戦っても相手には歯が立たないと直感したら、逃げることや隠れることを選択します。この選択するための能力は原始の時代から人間だけでなく動物本能としての生存のために必要な能力です。
 職場においてストレス源となる自分の業務に支障を及ぼす外部からの働きかけや悪影響が及ぶ困難な状況が起きた時や、顧客や上司から思わぬ理不尽な依頼や要求がくることがあります。そのような時には自分を取り巻く状況を適切に分析し、そして冷静に対処方法を検討し、ストレス源となる困難にたいして、状況判断によっては全面的に戦うことを選択したり、勝ち目がないと判断した時にはその場を離れるという「逃げる」ことを選択したりします。あるいは、その場での調整が可能と判断した場合には相手と交渉し調整することを選択し、大きな問題となることを回避する冷静に高度な対処をすることになります。
 2.【相手とWin-Winの関係を維持すること】
 そして進化した人としての高等テクニックとしての対人関係コミュニケーション方法があります。それは、戦術的に、うまくその場を乗り切る方策として、ストレス源の相手が特定個人であっても組織であっても、相手のメンツを立てながらもこちら側の意向もくみ取ってもらう調整交渉をすることにより、お互いにWin-Winの関係を維持しながら解決できる方法を導き出すなどの「調整する」選択肢を採用することを決定する場合もあります。そのために、困難な状況を脱するための最適な方法を導き出す瞬時の判断が、日常的な生活場面では無意識に実施されています。しかし、時には冷静さを欠いてしまい、自分の力量や立場を考えにいれることなく、単に感情的に腹を立ててしまい無謀な戦いに挑んでしまうこともあります。感情的にならずに、相手とWin-Winの関係を維持することが重要です。
 3.【常に「耐える」ことは絶対に避けること】
  職場ストレスを回避することで、心身の健康を維持し、最高のパフォーマンスを発揮して、自分の仕事で大きな成果を出すために、一時的に「耐える」ことが必要な場合はありますが、それは、次のステップの「戦う」、「逃げる」、「調整する」の前段階として戦略的に一時的に「耐える」ことが必要な場合のみです。ただ単に我慢し、そのストレスに「常に耐える」ことは危険な行為として認識することが必要です。「常に耐える」ことは職場ストレスから脱出することにならず、ストレスが蓄積されてしまい心身ともに疲弊する最悪の状態に至るため、避けなくてはならないことです。

・参考情報 ①:心理カウンセリング領域と対処ヒント(職場ストレスや人間関係の悩み)
・参考情報 ②:心理カウンセリング領域と対処ヒント(心を癒すストレスケア方法)

職場ストレス脱出の5ステップ

 職場ストレス源となる業務上の困難や苦境から脱出するためのプロセスはスピーディに実施することが望ましく、常日頃から問題発生を想定して対処方法を考えておくことが必要です。そのためには、そのプロセスを理解するために、「課題解決のプロセス」として基本的な5つのステップががあります。それを応用することで職場ストトレスの緊急脱出の課題解決に対応できます。 
①「危険の予知・察知ステップ」・・・外界の危険情報をいち早く収集察知する能力を働かせるために必要な常日頃の心構えのステップ
②「幾つかの対策選択肢を導き出すステップ」・・・現状の危険を回避するにために今現在において対策可能な方策としてのアイデアを導出すステップ
③「最適対策を決定するステップ」・・・導き出した幾つかの方策を比較分析しその中から現状における最善の方法を決定し、具体的な計画を作成するするステップ
④「最善策を実施するステップ」・・・現在の苦境から脱出するために最善と考えられる方策の具体的な手続きを速やかに実施するステップ
⑤「修正するステップ」・・・実際に最善策を実施してみて、計画通りにうまく行きそうかかどうか、軌道修正すべき問題が起きていないかどうかを常にチェック確認し、修正すべき点を早期に実施するステップ。


 以上が具体的な職場ストレスからの緊急脱出の手順であり、全ての問題解決に対して適用できるステップとなります。
大切な心身の健康を維持していただき、ご自身の日頃の業務で最高のパフォーマンスが発揮できるために、この職場ストレスから緊急脱出の手順をご活用いただき、過剰なストレスを回避し、少しでもストレスを軽減していただき、全ての職場において、より快適な職場環境を実現するために、確実な職場ストレスの撲滅を図っていただけることを心から願っています。by 長谷川裕通

・参考書籍紹介 ①:職場・人間関係編(DV衝動抑制、虐待トラウマケア)
・参考書籍紹介 ②:センター代表の出版書籍一覧(著者:長谷川 裕通)