メンタル不調から早期回復できる心理支援への保険適用が待望されています!

スカイツリーと富士山の写真

精神疾患には心療クリニックの投薬治療だけでなく、心理カウンセリングによる悩みの根本解決が必須です

 メンタルヘルス先進国の米国や英国などでは、心理支援のカウンセリングが医療保険の対象となっています。日本でも同様に、メンタル不調から早期回復できる心理支援への保険適用が待望されています!米国や英国では、心理カウンセリングの利用率が非常に高く、仕事や家庭の悩みで大きなストレスを抱えた時には気軽に利用することができます。しかし、日本では心理カウンセリングの利用率が極めて低く6%程度だとする調査があります。それは、日本での心理カウンセリングが医療保険の対象外となっているため、比較的に高額となる利用料金を自己負担する必要があり、気軽に利用できないという問題があります。また、心療クリニックでは投薬治療が中心となるため、日本でメンタル不調への初期治療として、向精神薬による治療が中心となっており、多剤投与と長期投与による副作用や依存性リスクの問題に、多くの方々が直面している現状があります。

心理支援の心理カウンセリングに医療保険が適用されるとストレス禍による多くの社会問題を解決することができます。一般市民の方々にとって、健康を維持するためのプライマリケアの要といえる専門性の高い心理カウンセリングを気軽に利用できない状態が、日本の心理カウンセリング利用率の低さに現れています。

気持ちのいい海の風にあたる女性

現代の地域力の希薄化や核家族化で個人が孤立する社会において、悩み解決を図れる心理カウンセリングの利用率を上げることで、多くの社会問題が解決します。例えば、大学生や未成年の単なる興味本位とは言えない、苦悩から逃れるための違法薬物依存の拡大非就労の社会的引きこもりの増加、子供をまきこむ一家心中自殺者数の増加、職場のパワハラ、家庭におけるDVや児童虐待学校のイジメ問題、反社会的な非行問題など、心理支援が十分でないことで多くの社会問題を引き起こす要因となっています。

心理カウンセリングのクライアントとカウンセラーの場面

日本における少子高齢化が加速する時代にあって、全ての世代が継続して安定就労するために、健康な心身を維持する日常的なプライマリケアは必須事項です。そのために、お薬に頼ることなく副作用の無い安心安心な、心理学に基づく専門性の高い心理カウンセリングを気軽に受けられる社会制度を構築することが、現在の日本におけるメンタルヘルスケアの重要課題だといえます。

参考情報:
(1)対面型および遠隔型の心理カウンセリングの利用状況と利用意向(京都工芸繊維大学大学院)
(2)2017年「働く人からの悩み相談」統計結果(日本産業カウンセラー協会)
(3)2002年~2021年 精神疾患の治療またはカウンセリングを受けた米国の成人(Substance Abuse & Mental Health Services Administration)
(4)2020年に過去12ヵ月間にメンタルヘルスの治療または投薬を受けた18歳以上の米国成人の割合(Substance Abuse & Mental Health Services Administration)

日本で利用できる心理カウンセリング支援や相談窓口の特徴と注意すべき留意点

 現在の日本において、医療的なメンタルヘルスケアや、将来のキャリア形成、対人関係との悩み事などへの解決の心理相談をしたい時に、専門性の高い心理支援といえる心理カウンセリングを、無料で気軽に利用できる恵まれた環境を提供されている就労者の方々は、大企業の従業員の方々や、官公庁・自治体の職員など、特定の方々に限られているのが現状です。

大企業のエントランス

(1)大手企業と官公庁・自治体の従業者が利用できる無料心理カウンセリング

民間大手企業が、従業者のメンタルヘルスケア制度のために、会社契約した民間経営の心理カウンセリングルームで、対象となる正社員が無料で心理カウンセリングを利用できます。大手企業における福利厚生の制度として役員や正社員は無料で利用できます。ただし同じ職場に就労する従業者であっても、基本的には非正規社員のパートアルバイト社員などの契約社員や、業務委託会社の従業者個人事業主などは対象外となります。大企業の正社員の方々には恵まれたメンタルヘルスケア環境が提供されてます。

大企業のビルが建つエリアの街の光景

官公庁や地方自治体が、職員向けのメンタルヘルスケア制度として、一般公共入札で契約した民間経営の心理カウンセリングルームで、正規職員は無料で心理カウンセリングを利用できます。ただし、正規職員が対象の福利厚生が目的のため、非正規職員のパートアルバイトなど有期雇用の臨時職員や、常駐する業務委託会社の従業者や委託契約の個人事業主などは対象外となります。官公庁や地方自治体の正規職員の方々にとっては、恵まれたメンタルヘルスケア環境が提供されています。

(2)中小企業の社員、非正規社員や個人事業主、家族が利用する有料心理カウンセリング

 精神疾患には至っていないけれど、職場での人間関係やトラブル家庭の問題や困り事で、悩みのストレス状態が続き、その悩みから解放されるために、専門性の高い心理カウンセリングで、ストレスケアと悩みの問題解決の対処方法を導きだす心理カウンセリングの支援を受けることががプライマリケアにはとても重要です。

中小企業の工場の建物外観

しかし、多くの中小企業では、従業者がいつでも受けられる無料の心理カウンセリング環境が提供されていることは非常に少ない現実があります。そのため、日本の就労人口の7割以上が勤務する中小企業の社員の方々、さらには、就労先が大手企業や官公庁・自治体であっても、有期雇用の非正規社員や臨時職員パート・アルバイト社員など非正規社員、ひとり親方の個人事業主などの就労者の方々、そして、それら就労者の妻や子供たち扶養家族非就労の高齢者の方々などは、自己負担で民間経営やNPOが運営する心理カウンセリングを有料で利用することになります。

顔に汚れをつけて、中小企業の工場で組み立て作業をする女性の姿

さらに、その心理カウンセリング料金は、医療保険の適用外となることで比較的に高額な利用料金であるため、頻繁に通うには利用コストが大きくなり、気軽に利用できないことから、このような方々にとっては、心理カウンセリングが身近にないという、メンタルヘルスの厳しい現実があります。

中小企業の工場で作業する技術者たち

(3)精神疾患の通院で利用するクリニックの保険適用の心理カウンセリング(精神療法)

 日常的に、遭遇することがある職場のパワハラやセクハラ過労が続き職場にどのように交渉すべきかの悩みや、家庭での問題にたいしてどう対処すべきかの悩み、などのトラブルや困った出来事には、早期の対処と対策が必要です。それは健康を維持するために必要なプライマリケアの要です。
しかし、その困り事の源となっている根本原因への対策ができなかったり、原因除去が長引くなどしたりすると、悩みが続いてしまい、ストレスが非常に大きくなります。その結果、考え過ぎて不眠が続く、仕事に集中できない、出勤できない学校に登校できない等の心身症状がでてしまったら、急いで心療内科などのクリニックで治療を受けることが必要です。

悩み事へのストレスで疲れた女性

その場合、クリニックで治療をうけるべきサインといえる心身症状を見逃さないことが重要です。それは、出勤・登校できない状態、数日間の不眠障害、心の落ち込みが大きい、人と話すことを極端に嫌う、食欲不振、自殺念慮などが生じている状態などは抑うつ傾向にあるといえます。その場合には、最優先で、その心身症状を緩和するための治療と、お仕事を休み、十分な休養をとることが必要です。さらには、心身の不調が重篤な状況では、医師の処方するお薬を確実に服用し、早期の症状緩和を最優先にすることが重要となります。

クリニックで診察をうける女性の患者さん

心療内科における治療方針の多くは、身体症状を改善するための投薬治療を中心としています。そのため初診時に、30分程度の診察時間で患者の状況を確認する精神療法としての診察があり、投与すべき薬剤を見極め、適切な薬剤が処方されます。それ以降の再診では、5分程度の短時間で、処方されたお薬の効き具合を確認する診察となり、投薬中心の投与が続けられます。

投薬治療の向精神薬のタブレット

しかし、ストレスを生み出している困りごとの根本問題が解決しない限り、メンタル不調の心身症状を完全に解消することは難しいといえます。投薬による身体症状の緩和はありますが、何らかの形で心理カウンセリングを併行して受けることが必須です。そのストレス源が続く状態では、投薬による症状緩和と悩みストレス継続による症状悪化の一進一退が続くことになります。その結果、投薬治療は継続し、投薬される向精神薬の種類を変えながら多剤投与で長期投与の治療が続くことになります。

投薬治療をするが、なかなか回復できない精神疾患の女性

向精神薬を長期に服用することよって、その副作用が新たな身体症状を生み出すリスクや、向精神薬の依存性が強化されることで、投薬の終結や減薬が難しい長期服用の状態に至ります。また多剤服用する場合には薬剤毎の副作用が複合的に作用する、新たな身体症状による体調不良が慢性化することで、日常の思考が集中できないことで、お仕事や家事の効率が落ちてしまうことが常態化するがあります。それにより、職場や家事に支障をきたすことで、休職したり退職したりする結果となるリスクを抱えることになります。

 医療保健が適用されることで、心療クリニックは受診しやすい気軽さはありますが、投薬による症状緩和は短期的な処方として、心理カウンセリングは必須とすることが必要です。

(4)自治体などの公的機関(福祉・保健・介護・司法等)の無料相談

 公的な機関が無料で実施する相談窓口で、経済支援の相談子育て相談、児童相談所などの地方自治体等の相談窓口を利用することができます。

現在、地方自治体などによる無料相談が可能な福祉的な相談窓口は整備が進み、多く設置されつつあります。例えば、自殺予防のSNSや電話相談、子育相談や児童虐待などの相談ができる児童相談所の相談窓口や、生活困窮者自立支援制度に基づく地域の生活支援・相談センターの相談窓口、子育て支援センターや地域包括支援センターなどの相談窓口など、それぞれの役割機能に応じて、各種の公共施設の相談窓口があります。それらの相談窓口は、虐待などの事件事故が発生している状況や、経済的な問題や危険性が生している時に、支援制度の詳細内容を知り、自分に合った解決方法を探し出すための、福祉的制度の相談窓口です。

公的機関の相談的口のある建物

公共相談窓口のメリットは、下記のようなものがあります。
①無料で緊急時にいつでも相談できること、
②問題対応のために、制度利用が可能か、どうかの可否が判ること、
③制度・しくみの情報収集とアドバイスを受けられること

また、利用者としての留意点としては、下記の点などへの留意が必要です。
①サポートを受けるために、基本的には個人情報を提示して相談することが前提で、
②公的機関内や関連機関との連携のため相談者の個人情報が共有され完全な秘匿性扱いではないこと、
③自己理解の促進やスキル獲得、ストレス解消を期待してはいけないこと、
④多くの窓口職員は心理職の専門家ではなく、一般職員が簡易的な相談研修を受けて対応しているいこと、

公的機関の相談窓口で福祉サービスの説明を聞く女性と役所の担当男性

とくに留意点として、福祉・介護制度や法律制度の知見でのアドバイスを得ることは可能ですが、心理学の知見については数日間の心理カウンセリング研修などを一般職員が受けて、窓口対応するケースが一般的です。
そのため、公的機関の相談窓口担当者から「もっと頑張れ!」と言われ、心理的に追い詰められ、困窮対策の制度利用を断念したという、気の毒な事例も耳にします。それらの窓口担当者の言葉は励ましの意味も含めて言っているつもりであっても、深層心理の観点ではありえない言葉がけであり、自己否定を促進させ出口のない真っ暗なトンネルに追いやる言葉です。それらの制度は、一般市民の権利を守るための福祉制度です。胸をはって自信をもって利用してください。

公的機関の相談窓口で生活困窮対策サービスの申請をする場面

また、学校におけるスクールカウンセラーが子ども達のいじめ相談に乗る形の心理カウンセリングを、生徒が無料で受けることが可能です。それらは地方自治体の教育委員会などが非正規職員として単年度契約採用されたスクールカウンセラーが定期的に巡回する学校で、無料相談ができます。しかし、大半が週に1-2回の巡回のため、いつでも、問題が発生した時にスピーディーに相談対応ができない点、およびカウンセラーの多くは単年度契約のため、基本的には、担当カウンセラーは毎年度の契約更新で入れ替わりがある点に留意が必要です。それは、ケアをうける子ども達にとって更新時に新しい相手との信頼関係を再構築することが必要で連続性がないことにより生ずるリスクについて、関係者は認識しておくことが必要です。

悩みストレスの長期化で精神疾患に罹ったら、お薬は単剤・短期の服用とし、心理カウンセリングで困り事の根本解決が必須です!

 日本における民間経営の心理カウンセリングルームでの心理カウンセリング支援は、医療保険の適用外で自由診療となるため、比較的に高額な心理カウンセリングを気軽に受けることができない状況にあります。そのため多くの方々は、専門的な心理カウンセリングを利用できずに、職場や家庭で困った状況に至ったときには、身近な友人家族に相談するケースが多いといわれています。

疲れた女性

しかし身近に相談できる人がいない場合や、専門的な対処法・スキル方法などの心理的アドバイスが得られずに、その悩みを解決できない場合には、悩みによるストレス状態が長期化し重度の睡眠障害や心身症、さらにはうつ病などの精神疾患を発症し体調不良となるリスクが高まります。

多くの副作用のある向精神薬の錠剤のタブレット

そのような重篤な身体症状に至った段階で、ようやく医療保険の適用する診察を受けるため、掛かりつけのクリニックや心療内科などに出向くことになります。そして、その心身不調の症状を緩和する対症療法として、睡眠薬や抗うつ剤などの向精神薬を処方されることになり。しかし、悩みの根本的な問題を除去し解決をする心理カウンセリングを受ける機会が提供されずに症状緩和の投薬治療が優先される治療方針の場合には、困り事の根本問題は解決することなく、ストレス状況が継続することになります。その結果、処方されたお薬を長期に服用することで、減薬が難しい長期服用による依存性のリスクを抱えることになります。

多剤服用の副作用リスクと長期服用リスクのある心療内科での投薬治療に注意すべき向精神薬

さらには、数種類の向精神薬を同時に多剤服用する場合には、薬剤毎の副作用が複合的に作用する、新たな身体症状による体調不良の恐れがあります。その結果、多くの症状が慢性化することで、日常の思考が集中できないことで、お仕事や家事の効率が落ちてしまうことが常態化することがあります。それにより、職場での勤務に支障をきたすことで、休職を繰り返して結果的に退職を選択しなくてはならないリスクを抱えることもあります。

医療機関での診察をうける女性

医療保健が適用される心療クリニックは受診しやすいという気軽さはありますが、投薬による症状緩和は短期的な処方として、心理カウンセリングで悩み事の根本解決をはかることが必要です。それによって、悩み原因への対処方法を日常生活で新たに取り入れる等の対策によって、日常ストレスを軽減し解消させることで、健康な生活を取り戻し、心身不調の回復が見込めます。しかし、クリニックの投薬治療だけでは生活の困り事の根本解決はできませんので、なるべく多剤服用と長期服用を避けて、向精神薬の副作用と依存性を回避することを念頭にいれて、心療クリニックを受診し、医師を信頼して自分の希望を明確に伝え、医師と十分に相談して、クリニックでの投薬治療とあわせて、外部で専門的な心理カウンセリングを継続して受けるなど、最善・最良の治療をうけることが重要です。

困り事で悩んだ時に対処するための健康維持のプライマリケアのポイントと手順・方法

けがをした熊のぬいぐるみ

プライマリケアの重要ポイント

 日々の心身の健康を維持するために、対人関係のトラブルや家族の問題など、日常的な困り事で悩んでしまった時に、その困りごとを解決し、心労ストレスから素早く脱出するためのに日常的なプライマリケアの心がけが大切です。留意すべき重要ポイントは下記のとおりです。

  1. 悩みの種を放置せずに早く対処すること
  2. 悩みの根本問題を迅速に解決すること
  3. 専門的な心理カウンセリングを受けて、悩みの根本的解決をはかること
  4. 精神疾患になったら医療機関で治療を受けること
体温計で体温を測る女性

医療機関での留意事項

 悩みの根本問題が解決せずに、ストレス状態が長引き、不眠障害などの精神疾患を発症してしまった時に、医療機関での治療において、留意すべき重要ポイントは下記のとおりです。

  1. 医師によく相談して、その心身症状に焦点をあて、なるべく単剤の投薬処方を受けること
  2. 医療機関で、または別途で、心理カウンセリングを受けて、悩みの根本解決をかはること
  3. 投薬治療は短期間で終結させ、長期服用を避けること

根本的な悩み原因を解決させず、投薬治療中心の治療だけに頼ることは、心身症状が軽減するのみです。その悩みの根本原因となっている困り事自体を解消させない限り、体調は完全に回復することはありません。
根本的な原因となった困り事を解決する心理カウンセリングでストレスを軽減・解消させることで心身不調の症状を回復させます。悩み原因が除去されることで、ストレスによって引き起こされる心身症状が徐々に回復し、投薬治療の減薬を目指します。

医師とよく相談して、対症療法としての位置づけにある向精神薬の服用は短期間に集結させ、向精神薬への依存性を防ぐことに留意してください。そのため、悩みの根本原因を解決させる心理カウンセリングは必須でうけることが必要です。それは、向精神薬の長期服用による薬剤の副作用を避けるために重要なことです。

向精神薬の副作用リスクを表示する写真

以下に実践すべく日常的なプライマリケアとして、メンタルヘルスを維持する習慣づけ、および困り事などの心の問題が発生した時の対応手順とテクニックを示します。

プライマリケアの手順と方法

(1)ステップ1.自分のストレスを日常的にチェックする習慣づけをする

 日常生活で、困ったことや苦しい出来事が起きたら、自分の感覚的・主観的な「ストレス指数」の大きさを確認する習慣をつけます。そして、その指数の大きさに応じた対処として、休暇をとって休養することや、仕事の困り事の解決のために関係者をうまく巻き込む調整をするなど、ストレスを放置することなく、迅速に対応することができます。そのための、対処発動のトリガー情報「ストレス指数」です。

体重計を手にもって、これから自分の体重を測定しようとする女性

「ストレス指数」とは、自分の苦しさ状態を測定する疑似的メジャーで感覚的に確かめる主観的な数値です。便宜的に:低レベルL.1~最大レベルL.10まで、10段階とします。

自分のストレス指数を把握するチェック表

そのレベル例を、下記に参考例を示します。

  • L.1 :その事を考えると、少し嫌な感じがするが、何となく人ごとのように、他人にその出来事を話せるレベル
  • L.3 :その事を考えると、胸がドキドキして、とても嫌な感じがするレベル
  • L.5 :その事を時々思い出して気持ちが暗くなりさびして悲しくなるレベル
  • L.6 :その事が頭に浮かぶと、考え込んでしまい、夜は寝付けない状態になるレベル
  • L.10:その事が常に頭から離れることはなく、何をしていても、その事を考えて込んでしまい、仕事や勉強が手につかず恥ずかしくて、悲しくて、苦しくて、すべてから逃げ出したいレベル

(2)ステップ2.困り事が起きたら、すぐに解決情報を探して対処する習慣づけをする

 友人との人間関係や家族のちょっと困った問題が生じて悩ましい状況にある時は、その状態を放置せずに、すぐに対処方法を探し出して、それを実践トライアルしてみることを、習慣にすることが必要です。

それには、インターネットで対処・対策の情報を収集し、その困ったことへの受けとめ方(認知)を変えたり、自分に合った気分転換の方法を試したり、コミュニケーション方法を変えたり、などの対処方法や再発防止の対策を講じて、起きてしまった目の前の困りごとにうまく対処する具体的方法を知り、それを実践することで、困り事を乗り越えるトライアルすることで、困り事の解決を自分自身で目指します。

スマホで検索して悩み事のヒントをインターネットで探す人

とくに最近は、AIチャットなどが困り事の解決を手助けしてくれます。専用開発された有料AIアプリを契約することなく、ある程度のことは、OpenAI社の無料「ChatGPT」、Google社の無料「Bard」、Microsoft社の無料「Copilot」などの無料で利用できるチャットAIをうまく活用することで、対処ノウハウを収集することが可能となりました。

しかし、機密性が無いことと倫理上の観点から、心理カウンセリングはできませんので、あくまでも困り事を解決するための情報収集を目的とした活用です。そのため、具体的な状況や個人情報は入力せずに、「思いやりのある心理カウンセラーの立場で、もしも失恋して落ち込んでいる男性のクライアントには、どのような言葉がけが必要なのかを、いくつか提示してください」、あるいは「もし、〇〇の状態になった困った人がいる時、その人に提案できる最適な解決方法を、いくつか提示してください」というように、対処方法や解決策をAIチャットに質問してみることで、対処方法を提示してくれます。

危険なインターネットで相談する未成年

心がつらい時に、その気持ちを回復させることができる、哲学者の言葉や先人の知恵が、提示されることで、新たなきっかけとなる、新たな気づきが生まれます。それによって、目の前の困った事を、どのように受け止めるべきか(認知修正)、どのように対処すべきか(行動修正、問題解決のスキル獲得)などをセルフで目指すことができます。

(3)ステップ3.信用できる身近な人に相談することで解決策を探る対処

 悩みストレス源となっている困り事への対処や対策ができずに、自分の悩む状態が1週間以上続く、または「ストレス指数」がレベル3を越えたら、身近に相談できる信頼できる知人、友人や家族に相談することが必要です。
 信用できる身近な人がいる場合には、自分の困り事を話してみて、解決策の知恵を借りることが、大きな力になります。

悩み事を相談する友人と楽しくお話しする二人の女性の姿

昭和の時代であれば、テレビを購入したご近所の家で、プロレス中継や野球中継のテレビ放送を見せてもらうために、ご近所が家族連れで、そのお宅に集まるなどの楽しいご近所つきあいがありました。しかし、核家族化が進み、地域社会の結びつきも希薄な現代社会では、近所の先輩や年長者などに何げなく相談できることが少なくなり、さらには、家族や友人など信頼できる人が身近にいない場合には、人に相談すること自体が難しい現代社会だといえます。

SNSで未成年を事件に巻き込む犯罪者

その結果、身近に相談できる人がいないことで、インターネットのSNS投稿などで、知らない人に相談することが増えており、未成年が犯罪に巻き込まれる事件が多く発生しています。SNS投稿での相談は、秘匿性の高い自分の個人情報を公開することになり、反社会的な犯罪集団や事件に巻き込まれるリスクが非常に高く、危険な行為であり、絶対に禁物です。

また、友人などの場合でも、リスクの少ない相談の話し方への配慮が必要です。例えば、「私の知人が困っていて、あなたなら、こんな時はどうする?」など自分の相談ではなく、知り合いが困っているとする方便を使う方法があります。

友だちに相談する男性

さらには、相手の素性をよく知らない人には、自分の内面をさらけ出すことは危険です。その人が職場や学校で周囲に言いふらす事など、二次被害にあうリスクがあります。そのため、相談する相手を見極めることも大切です。信用できない人には、絶対に相談しないように注意が必要です。

(4)ステップ4.専門家の心理カウンセリングで問題解決を図る


 悩んでいる困り事の対策を探し出せずに、ストレスが増してしまい、悩む状態が数週間にわたり続いている場合、または自分のストレス状況が急速に悪化するほど大きな困った問題が生じた場合などで、「ストレス指数」がレベル6を越えたら、相談すべき困り事の内容に応じて最適な相談窓口を探し出して、専門家のアドバイスを受けることで、早期に悩みの根本解決をはかることが必要です。

悩み事を持つクライアントの心理相談をする男性カウンセラー

その悩み事が解決できずに、ストレス状態が長期化することで、心身症状が出てしまい精神疾患などの不眠障害や抑うつ状態にならないように、早めの対応が必要です。もし、不眠障害や抑うつ傾向が強く、精神疾患のような心身症状がある場合には、(5)ステップ5.クリニックで心身症状に対する対症療法が必要となります。

・選択窓口1 職場が提供するメンタルヘルスケア制度を利用する

会社や組織が契約している無料の心理カウンセリング環境が提供されている場合には、それを利用します。職場のパワハラ、仕事の対人関係をはじめ、仕事以外のプライベートな悩みについても相談できます。自分の将来不安家族の事、自分の生活全般のストレスに対する対処方法を見つけるための相談ができますす。気軽に職場の勤務時間中に無料カウンセリングが受けられること、相談内容が共有されることなく、プライバシーが守られることなど、気軽に心理カウンセリングを受けることができます。

従業員向けメンタルへスルケア制度がある大企業のオフィス

しかし、一般的には正規社員や正規職員向けの従業員むけのメンタルヘルケア制度としての福利厚生で、非正規社員やパート・アルバイト契約社員などは対象外となることが多いです。

・選択窓口2 民間経営の有料心理カウンセリングを利用する

 民間経営の心理カウンセリングルームで、自己負担の有料となりますが、心理職の専門的心理カウンセリングを利用することができます。それらは医療保険の対象外となるため、メンタル不調で心療内科に通院している場合にも、別途で利用する心理カウンセリングルームでのカウンセリングは、自由診療となります。

心理カウンセリングルームで心理相談をうけるクライアント

全額負担となるため比較的高額となりますが、悩みごとを心理学の知見で多面的に整理し、ストレスケアと自己効力感の回復を図りながら問題の解決策への相談が可能です。そこでは、自己理解、自信獲得、気づき獲得、対人スキル開発、仕事スキル開発、法制度利用の促進など、幅広い知見で、必要対策を導き出すことができます。

カウンセリングルーム選定の注意点】
① 国家資格の確認数週間の簡易的なオンライン講習で資格認定する疑わしい民間団体が多く活動している現状があります。そのため、国家資格の公認心理師の資格は必須であり、事前に心理カウンセラーのプロフィールで保有資格を確認することが必要です。
② 利用料金の確認心理学とは言い難い催眠術治療、占い治療、宗教的治療、など桁外れの高額料金の疑わしいカウンセリングルームが存在しています。高額な利用料金には注意が必要です。いっぽう、ボランティア活動団体などでは利用料金を抑えていますが、民間経営の場合には無料では経営が困難なため、何らかの別途利用料金が発生するなどの、別途の請求がないことを確認することが必要です。
③ 利用者の声に要注意倫理上における利用者軽視の例として、利用者の喜ぶ声を公開してPRしているカウンセリングルームが多々あります。しかし、「重篤な状況から即時に脱し効果絶大の感謝の声」など、明らかに真実でなく疑わしさの疑念を抱かせる感謝の声ばかりを、多く掲載されているケースがあります。また、利用者を匿名としていても、最近はAI解析で他の情報と突合されることで本人が推測特定される危険性が高くなっています。そのため、世界的な個人情報保護のすう勢として本人の了解を取ったとしても、ビックデータ解析が可能な時代でもあり、倫理上の問題をまねく恐れがあります。

・選択窓口3 公的機関の無料相談窓口を利用する

 生活困窮、仕事探し、親の介護、乳幼児育児、子どもの障害、などの場合は、対応する公的機関やNPO団体で福祉支援の制度や援助支援金などの法律相談をすることができます。

公的機関の相談窓口がある建物の入り口

ただし、生活上の問題解決や、事件トラブルを防ぐのための相談窓口であり、継続した自分自身の対人スキル向上や、人格形成における自分理解など、心理学的な知見での心理支援の心理カウンセリングはできないことに注意が必要です。

(5)ステップ5.心身症状があればクリニックで治療する

 困りことの対策ができずに悩みが大きくなり、心身症状がでたら心療内科などのクリニックで緊急対策として診察を受けることが必要です。例えば、仕事に支障が出ている、心身症状により出勤・登校できない数日間の不眠障害心の落ち込みが大きい人と話すことを極端に嫌う、食欲不振、自殺念慮などが生じている状態では、優先してその心身症状への対症療法が必要です。

心療内科で診察をする男性の精神科医

しかし、困りごとの根本問題が解決しない限り、心身症状は解消することがないため、必ず「ステップ4.専門家の心理カウンセリングで問題解決を図る」が必要です。そのため、心身症状がでている精神疾患と診断されたら、専門性の高い心理カウンセリングを併行して利用することが必要です。

精神疾患にかかり投薬治療をうけて自宅で仕事を休んで休養する女性

そのためは、治療方針について、医師とよく相談して、副作用リスクがある向精神薬を服用する投薬治療はなるべく早く終結できるようにするため、そもそもの悩みストレスの根本原因となった困り事の問題解決を図ることが必要です。そのためには、心理学の知見を持った専門家による心理カウンセリングを、投薬治療に並行して、受けることが必須となります。

医師による投薬治療

投薬治療をうける心療クリニックの治療方針によっては、再診は投薬の効き目の確認する短時間診察になるケースが多いことがあります、その場合には、別途の民間経営の心理カウンセリングルームでカウンセリングを受けることが必須となります。

参考情報:
(1)多剤服用の対策:高齢者の医療品適正使用の指針[多剤服用の対策としての高齢者への薬物投与の留意事項](厚生労働省) 
(2)参考関連書籍:日本初「薬やめる科」の医師が教える 薬の9割はやめられる(Amazonサイト)

大手企業と官公庁・自治体の従業者には、身近な心理カウンセリング環境が提供されている

 就労者の方々が、気軽に専門心理師による専門性の高い心理カウンセリングを無料で受けられる環境として、福利厚生の従業者向けメンタルヘルスケア制度無料心理カウンセリング支援のしくみがあります。

メンタルへスルケア制度がある大手企業の従業員や官公庁・自治体の職員が働くオフィスの光景

民間の大手企業が従業者向けに提供するメンタルへスルケア制度で、いつでも自己負担することなく企業が契約した民間経営の心理カウンセリングルームで、無料心理カウンセリングを気軽に受けられます。
また、官公庁・自治体の職員向けメンタルへスルケア制度も同様で、一般公共入札で落札契約した民間経営の心理カウンセリングルームで、職員は心理カウンセリングを無料で利用できます。

大手企業の従業者

このように、大手企業の従業者や官公庁・自治体職員は非常に恵まれたプライマリケアとして、職場でのメンタルヘア環境が提供されています。しかし、それらは正規社員や正規職員にたいする福利厚生であり、同じ職場で従事する非正規社員であるパート・アルバイト社員などの有期雇用の非正規社員、組織内に常駐する業務委託会社の外部社員や個人事業主などは一般的には対象外です。

非正規就労者や中小企業の従業者には、身近な心理カウンセリング環境は提供されていない

中小企業の工場の従業員の作業場面

日本における一般中小企業の就労者人口は圧倒的に多く、国内の労働人口の70%以上が中小企業の従業者であり、そこで働く多くの就労者には福利厚生の従業者メンタルヘルスケア制度として、無料で気軽に利用できる心理カウンセリングのしくみが提供されていないケースが多いのが現状です。

医療保険が適用される心理カウンセリングで、笑顔で元気に働くアメリカのカフェ店員さん

そのため、多くの中小企業における就労者、パート・アルバイトの有期雇用契約の非正規社員の方々、業務委託契約個人事業主の方々は、比較的に高い利用料金となる独立経営の心理カウンセリング・ルームで自費でカウンセリングを利用することが必要となります。

働きすぎでストレスを抱える飲食店の店員さんたち

しかし、比較的生活に余裕のある人でない限り、高額な利用料金を自己負担することは難しいため、利用せずに悩み苦しみを我慢することになります。そのため、仕事や家庭で起きた困り事で悩み苦しんだ時に、専門的な心理的支援をうけて問題解決の糸口を探し出すことで、早期にストレスを開放することが出来ない状況に至ることが多くなります。

建設現場でストレスを抱えならが働く下請け業者の建設作業員たり

日本では心理カウンセリング・ルーム支援は保険適用外で、自己負担となるため、利用率が低い

 日本では、悩んだ時や困った時に、気軽に心理カウンセリング利用できない根本的な問題は、医療保険の適用外のために自由診療となることで、一般の方々にとっては利用しずらい状況にあります。それにより比較的に高額な利用料を自己負担することが必要となるために、民間経営の心理カウンセリングの利用率が極めて低い状況にあります。

心理支援のカウンセリング場面

それは、利用者にとって、悩みが生じた初期段階で、適切な生活上の対人関係や職場問題にたいする対処方法のアドバイスなど、素早く導いてくれる専門性の高い心理カウンセリングを気軽に利用することができない状況です。

心理カウンセリングを気軽に受ける環境が社会的に提供されていないことで、利用することを選択せずに、悩み・苦しむ状態を我慢し、耐え続けることを選択した場合には、蓄積され倍増する日常ストレスへのケアができない状態が続きます。その結果、長期のストレスで身体に不調をきたした時には、しかたなく、医療保険が適用される医療クリニックで診察を受けて治療せざるおえなくなります。

心理カウンセリングでリフレッシュした女性クライアント

それは、メンタルケア先進国の米国や英国のように、ちょっとした日常の悩みごとでストレスを抱えたときに、初期段階で専門性の高い心理カウンセリングを気軽に利用できる状況になく、日本の多くの就労者は、日頃のストレスに耐え続けることで、睡眠障害やうつ病などの精神疾患などの、身体不調に陥ってしまい、医療クリニックでの身体不調の投薬治療へと結果的に直結している状況は、社会的なメンタルヘルスのプライマリケア問題だといえます。

心療クリニックは心身症状に焦点をあてた投薬による対症療法が中心

 もう一つの日本における精神医療現場の問題として、心療クリニックでの治療が、心身症状の改善に焦点をあてた、投薬治療が中心となっている状況があります。それは、困り事の根本原因に対処し、対策を立てる心理支援を目的とした精神療法となる認知行動療法などの心理カウンセリングの処方は、診療報酬の制度上において難しい現状があり、多くの診療クリニックの治療方針が投薬中心の処方とならざるおえない医療制度上の問題を抱えています。

心療内科での治療は投薬中心となる5分診察の場面

その背景には、いくつかの要因があります。その一つに、心理カウンセリングは人間による作業であり、人的パワーを要することにあります。それは、少なくとも1時間以上のカウンセリング時間を要することで、心療内科などのクリニック内での心理カウンセリングは時間的に難しいという点です。

投薬治療のお薬を飲む場面

また、現状の医療保険の制度上において、医療機関における診療報酬の対象となる心理カウンセリングは、医師による精神療法、またはその医師による指示でその施設内で看護師や国家資格の公認心理師による精神療法が対象となっています。しかし、その精神療法としての心理カウンセリングの医療報酬の点数が低いことで、精神科医が精神療法を直接実施することや、院内で専門心理師を雇用し心理カウンセリングを処方することが、収支経営上において難しい状況にあります。そのため、クリニックの経営上において、時間コストを要する心理カウンセリングを処方すること自体がクリニック経営的に難しい現実があります。

医師へのお礼の言葉 thank you Doc.

また、日本の心療クリニックにおける診療時間は、診療報酬の制度上から導き出される最適な経営方針において、患者あたり平均5分診療であり、それにたいして非効率な時間を要する精神療法を処方するクリニックは稀な存在となっています。その結果、クリニック経営の必要戦略として、効率的で診療報酬の多い形で、効率的に多くの患者にたいして投薬治療が中心となっています。
さらに、日本の心療クリニックでは、従来から長期的に多剤投与されるケースが多くあり、長期服用における向精神薬への依存性リスク多剤投与の副作用重複リスク、発売前の臨床実験には含まれていない将来において世代をまたぐ遺伝的な副作用リスクなど、国内および海外の多くの精神科医やWHOが、その懸念の詳細を発信しています。

依存症を防ごうとするポスターを掲示した男女2人

一般的に副作用リスクが皆無だという薬剤は存在しないことを認識し、心療クリニックの投薬治療の副作用や治療方針について、医師によく相談することが必要です。

参考情報:
(1)抗不安薬 (特集 向精神薬処方の最適化: 多剤併用を回避せよ!)--(多剤併用を最適化する基礎知識). 月刊薬事= The pharmaceuticals monthly 58, 1919-1923 (2016)
(2)【解説】診療報酬に収載されている公認心理師が関与する業務[心理カウンセリングが診療報酬の対象となるケース](公認心理士協会)

心理カウンセリングルームは心理支援で悩みの問題解決が目的

 心理カウンセリングはあらゆる困り事への根本対策を導き出す心理支援の場です。全ての世代で、気軽に利用できるように利用率を高めることで、多くの社会問題を未然に防ぐことに高い効果を発揮することが可能です。

夫婦への心理支援のカウンセリング場面

現在のように、一部の民間大手企業の従業者や官公庁・自治体の職員だけでなく、一般市民の方々が気軽に欧米諸国のように、悩みの初期解決が可能で、安心安全な心理カウンセリングを容易に利用できる社会を作り出すことが、日本におけるメンタルヘルスケア課題といえます。

その大きな解決策は、民間経営の外来心理カウンセリングルームが実施する心理カウンセリングを医療保険の適用対象とすることで利用者の利用コストを引き下げることです。

心理カウンセリング場面

例えば、未成年のトー横キッズによる市販薬のオーバードーズが問題となっています。その背景にあるものは、単なる子ども達の興味本位の行動ではなく、家庭における親からの虐待問題で居場所をなくした子ども達が、その苦しさを一時的に忘れることを目的としています。彼らへの児童虐待への対処・対策へのサポートが必要です。それを視野に入れた心理相談のカウンセリングで子ども達のサポートが可能です。

被虐待体験をもつ未成年へのメンタルケア

また、大学生が違法薬物に手を出す事件が後をたたない問題が起きています。彼らにも同様に、背景にあるものは、単なる若者の興味本位の行動ではなく、スポーツひと筋で打ち込んで推薦入学した体育部員がレギュラー落ちし、自分の限界を直視することになり、将来のスポーツ就職が困難となったことで、今更勉学に励むことは手遅れだと考えてしまい、自分の将来への不安による悩みが大きくなり、その不安を忘れさせてくれる薬物に依存してしまう事件背景が推測されます。もし、その悩みの初期段階で専門的な心理カウンセリングを受けていたら、薬物に手を出すことなく、新たなチャレンジへの認知修正と行動修正の気づきが得られたと、推察させられます。非常に残念な思いがします。

心理カウンセリング利用率の低さが、パワハラ、DVや児童虐待、薬物依存、非行問題など、多くの社会問題を引き起こしています

誰にも相談できずに悲しむ少女の姿

 現代社会では、気軽に相談できる家族、友人や知り合いを持たない、孤立した一人暮らしの人が増えており、さらに核家族化によって身近に相談できる人がいない孤立社会にあり、身近に相談できる人がないという社会です。その中で、心理カウンセリング・ルームを利用することが大きな問題解決のきっかけとなります。しかし、医療保険が適用外のため、高額となるカウンセリング料金の自己負担が必要なために、悩み事が生じて、心が不調になった時に、気軽に心理カウンセリングを利用することができない現状にあります。

アルコール依存する未成年


そのことから、対人関係や仕事のことで、精神的に落ち込んでしまい、十分な睡眠がとれない時や、職場のパワハラやセクハラで大きなストレスを受けた時に、身近に相談できる人がいない、気軽に心理カウンセリングを利用できない、という状況にあることで、困り事の解決がすぐにできずに、その悩みが長期化し、ストレスで体調不良となり、睡眠障害やうつ病などの精神疾患に陥ることになります。

犯罪に関わり検挙された成人男性

悩みの問題解決を図るための心理カウンセリングを気軽に利用できない状態にある人々が増えていることは大きな問題だといえます。この状況は、職場で受けたストレスを誰にも相談できず、家庭に持ち帰り家族に発散してDVや児童虐待となること、さらにその虐待をうけた子どもが他の生徒への学校でイジメ問題を起こす、などのストレス禍の連鎖といいう、ストレス環境循環を引き起こす問題を生み出しています。

ストレスが爆発しそうなサラリーマン

さらには、職場パワハラ・セクハラによる自殺者数の急増、家庭におけるDV・児童虐待貧困による一家心中などの悲惨な事件の急増、減ることにのない学校でのイジメによる子ども達の自殺メンタル不調者による心療内科への放火事件、貧困による社会増悪の事件一般市民への異常事件の急増、虐待され家を飛び出して都会を放浪する未成年のトー横キッズなどの薬物乱用など、これまでにない数々の新たな社会問題が急激に増えています。

心理カウンセリング軽視や保険適用の不要論がストレス禍社会を生む

 現代のストレス禍社会で、多くの人々が抱えるストレスから生み出される社会問題を解決するために、心理カウンセリングの利用率を高めることが必要です。そのためには、民間経営の外来心理カウンセリングルームが実施する心理カウンセリングを医療保険の適用対象とすることが大きな解決策です。医療保険の対象とすることで心理カウンセリング利用者の利用コストが引き下げられることで、利用率が飛躍的に高まります。

犯罪者に家族を奪い取られ、十字架の迄悲しみに暮れる老人の姿

しかし、心理カウンセリングを利用し易くするための法整備や、医療保険の制度見直しにたいして、ネガティブな意見が存在します。それらには、「心理カウンセリングの必要性は低い」とする意見や、「国家予算としての医療支出が大幅に増える」という、間違った見識があります。

それらは、日本の社会制度におけるプライマリケアとしての心理カウンセリングにたいする間違った見識です。それらの間違った見識や誤解が、これまでの日本における心理カウンセリング支援への利用アクセスの悪さが、現在の心理的なストレス禍社会を生み出し、そのことが多くの社会問題の波及に結びついています。

男性クライアントへの女性カウンセラーによる心理カウンセリング場面

現在の日本における状況は、米国や英国となどの精神医療の海外先進国と比較して、心理支援の心理カウンセリング環境の社会的な整備が大きく遅れているといえます。それにより、一般市民の方々が、日頃のメンタルヘルスケアのために、心理学に基づいた専門的な心理カウンセリングを利用できない状況にあり、解消できない日常ストレスが積み重なることで、家庭の虐待問題やいじめ等の多くの社会的問題の生み出しています。

将来の世代のために、喫緊の課題として、アクセスしやすい心理カウンセリング制度の構築が日本に必要だとする考えについて、主な3つの不要論にたいして、適切な見識を下記にご提示します。

(1)無料の公的相談の窓口があるので不要だ ⇒ それは保健・福祉等の手続き相談窓口です

「公的機関の無料相談窓口がいくつも機能しているので、独立経営の心理カウンセリング・ルームの必要性は低い」という間違った認識があります。しかし、公的機関では行政の福祉制度などのしくみを利用する上での相談が中心となるため、多くは生活上のトラブル発生時または回避するために、県市町村の支援制度を利用する相談が対象です。生活困窮、虐待問題、育児や介護問題など、緊急時の相談窓口です。心理カウンセリングのように心理的な側面で、メンタルケア、自己理解の促進や対人スキル獲得などを目的とした相談ではないことが大きな違いです。

公的機関の相談窓口がある建物外観

それらの相談窓口は、虐待などの事件事故が発生している状況や、経済的な問題や危険性が生している時に、迅速な解決が必要な相談が主な目的となります。そのための支援制度の詳細内容を知り自分に合った解決方法を探し出す、福祉的制度の相談窓口です。

公的機関の相談窓口での福祉サービスの相談

それは、専門的な心理学に基づく高度な心理カウンセリングの知見で、相談者の自己理解と各種スキル獲得による自らの問題解決をはかるための相談窓口ではなく、経済的、福祉的、法律的などの観点で、より良い生活実現をサポートする相談窓口です。

(2)心療クリニックで治療が受けられるので不要だ ⇒ それは投薬中心です

「医療機関で、精神療法としての心理カウンセリングが保険適用になっており、民間経営の心理カウンセリングルームでの心理カウンセリングの必要性は低い」という誤った見識があります。それにより、「独立経営の外来心理カウンセリングの医療保険適用の必要はない」という間違った見識となっています。

診療クリニックの医師が向精神薬を処方する場面

しかし、一般の心療クリニックでは、身体症状やメンタルの症状に焦点をあてた対症療法による投薬治療が中心です。その背景には、診療報酬のしくみ上において、長時間の診察時間を要する精神療法(心理カウンセリング)を処方することは、クリニック経営上において、採算がとれない状況にあります。

副作用リスクのある向精神薬の多剤投与された多くの錠剤

 具体的には、診察時間が5分以上の一般診察の点数と、30分以上の精神療法(心理カウンセリング)の点数の差が小さく、クリニック経営上の効率性から、一人当たりの診察時間を5分程度として、多くの患者数をこなすことが必要となります。そのため、作業コストの見合わない心理カウンセリングは初診時のみとして、再診で心理カウンセリングを処方するクリニックは非常に少ない状況にあります。その再診では投与したお薬の効果副作用を確認するための診察を5分程度の中で実施する診療となっています。

その結果、日本の多くの診療クリニックでは、メンタル不調時の心身症状を改善することに焦点をあてた投薬治療が中心の処方となっており、悩みストレスの根本原因の解決をめざす心理カウンセリングの心理支援を利用できるところではない、という見識を持っておくことが、日本の医療制度のしくみ上において、必要な認識となります。

(3)国の医療支出が大幅に増える ⇒ 投薬治療が早期終結し医療費が抑制できる

 法制度を整備する立場の方々の見識として「独立経営の心理カウンセリングを医療保険の対象とすると、日本の医療費が大幅に増えることになる」という間違った認識によって、心理カウンセリングを診療適用対象とすることへの反対意見があります。

医療費の予算が増え国会議事堂の建物外観

しかし、民営の独立系の心理カウンセリング・ルームにおける外来心理カウンセリングを医療保険の適用とすることで、困りごとや悩みの初期段階で心理カウンセリングを利用することができるため、プライマリケアとしての健康な心身を維持できることへの大きな効果が見込めます。それは、海外の研究報告では、各種の心理カウンセリングによる療法で、精神疾患の向精神薬の投薬量が大幅に減量できたという調査報告や、入院療養の期間が大幅に短縮できたという多くの研究・調査のエビデンスがあります。

海外のメンタルヘルスケアの先進国の英国などの医療機関では、向精神薬による副作用リスク回避の観点で、精神疾患の初期症状にたいする治療の第一処方は、投薬治療ではなく、精神療法の心理カウンセリングが第一処方とされています。
今後、日本においても、民間経営の外来心理カウンセリングに医療保険が適用されることで、困り事の悩みが初期状態で、気軽に心理カウンセリングが利用できることになります。それによって、困り事の悩みストレスを我慢して、睡眠障害などの心身症状がでる前に、困り事の根本問題を解決する、プライマリケアが可能となります。その結果、睡眠障害やうつ病などの精神疾患を発症する人が大幅に減ることに結びつき、向精神薬の消費削減への大きな効果が期待できます。

カウンセリングで気持ちが晴れ晴れした女性

欧米の医療先進国では多剤投与は強く規制されていますが、現在の日本における初期の精神疾患である不眠や抑うつ傾向などの初期症状の初診時から、複数投与する多剤投与が一般的です。さらには、多剤投与が長期にわたり処方される長期投与の現状が大きく改善されることが見込まれるため、大幅な薬剤処方の減薬となり、医療費削減効果が大きいことが期待されます。

参考情報:心理カウンセリングの有効性関連調査エビデンス
(1) Evaluating the safety of mental health-related prescribing in UK
(2) Comparison of Depression Trends in the Japanese and US

参考情報:心理カウンセリングの有効性への注目
(1) 対話によるオープンダイアローグ精神療法:オープンダイアローグ・ネットワークジャパン(ホームページ)
(2)  変わり始めた精神医療:オープンダイアローグ療法の可能性: (NHK福祉情報ネットワーク)

(4)社会問題は減らない ⇒ 人々の問題解決が促進でき、ストレス禍社会を防げる

 社会問題は、そもそも異常な人間が起こしているため、「心理カウンセリング利用が容易となっても、反社会的な人格異常などの異常者による犯罪、未成年による非行問題など減らない」という間違った見識をもっている人がいます。

しかし、社会問題を生み出す犯罪者や未成年たちはの多くは、厳しい幼少時代の生育歴を持っており、育った環境による大きな影響を受けたことによる結果としての犯罪や非行のケースが多い、ということがいえます。

非行少年への心理カウンセリングで過去の虐待ケアを進める男性カウンセラー

それは子どもの頃に、日常的に親から虐待をうける家庭環境て育った場合や、反社会的な言動の親に養育された場合などの影響を大きく受ける場合があります。その場合には、恵まれない家庭環境を早くに飛び出して、未成年でありながら社会で独りで自立する生活を経験するなど、のケースが多くあります。
それは、終戦後の日本で戦災孤児が生き延びるために窃盗にはしってしまった状況に酷似しています。それは、その子どもが生き延びるために必要なスキルを得るうえで非行に至ったケースも多くあります。
彼らには、自分の苦しい過去体験を整理し、それを乗り越えるために、虐待被害など理不尽な関わりで屈折した心へのトラウマケアと、適切な医療的心理支援が必要です。さらには、反社会的な非行に走る未成年には、犯罪を未然に防ぐために、その未成年への支援として、福祉的支援とあわせて、社会の理不尽さを強く認識してしまい反社会的な行動に至った、恵まれなかった過去体験の整理と認知修正の気づきを得られるように、心理ケアとしての医療的心理支援が必要です。

心理カウンセリングで自己理解が進み、前向きな生活を送れるようになった少年と男性カウンセラー

彼らへの心理支援のように、一般の方々でも社会の理不尽さを感じた時に、それを相談できる社会的なしくみとして心理カウンセリング支援は重要です。心理支援のカウンセリングで、自己理解を促進でき、自分の理不尽な過去体験を整理し、心を癒しケアをするトラウマケアによる支援を提供した上で、福祉制度をうまく活用し、生活する術を獲得することができます。そして、社会福祉制度による支援サービスをうまく利用しながら、継続的に心理支援が可能な専門性の高い心理カウンセリングを利用するためには、医療保険が適用される安価な料金で利用できることの意義は非常に大きいといえます。

晴れ晴れとした表情の女性

独立系の心理カウンセリング・ルームにおける外来心理カウンセリングを医療保険の適用とすることで、困りごとや悩みの初期段階で心理カウンセリングを利用することができます。それによって、プライマリケアとしての健康な心身を維持することで、社会的な問題としての、DVや児童虐待、職場でのパワハラセクハラ問題、薬物依存問題などにはしる成人、若者や未成年にたいする心理支援が可能となり、社会問題を未然に防ぐ心理支援発生した事後での心理支援が可能となることで、多くの社会問題の世代間連鎖や環境連鎖を止めることが可能となります。

医療保険の適用外が利用率の低さと心理職員の生活困窮をまねく

 心理カウンセラーの職業としての問題点、および心理カウンセリングルーム経営上の問題点として、心理カウンセリングが医療保険の適用外となっているため、日本で唯一の国家資格の心理職である公認心理師生活が非常に厳しい状態にあるといえます。それは、心理職業務に専従することは、安定した生活基盤を確保できない現実があります。国家資格を得るために、奨学金制度を利用して大学院修士課程を経た心理カウンセラーとして、医療機関に従事する場合においても、独立した民営外来の心理カウンセリングルームで従事する場合においても、安定的な生活を確保することは、現状では非常に難しい現状にあります。

心理カウンセリングの場面

診療内科などの医療クリニックで、勤務する公認心理師の業務対象の精神療法や心理検査は、心療療報酬が低いことから、クリニックなどで勤務する看護師等とは異なり、パートアルバイト契約など非正規労働者として採用されるケースが多い現状にあります。また、心療クリニック内での患者への心理カウンセリング時間以外にも、心理検査・カウンセリング結果の患者への説明時間、医師への報告・書類書作成時間など、診療報酬の対象外の作業時間も多いため、心理師が生み出す診療報酬収入では、心理職の専従社員としての人件費捻出は経営上において困難となります。そのため、比較的に低い給与報酬となるパートなど非正規社員や業務契約での就労形態が多くなります。

大学院の図書館で心理学の勉学に励む心理学部の学生たち

自治体の心理相談員の業務契約や、学校に配置されるスクールカウンセラーの業務契約は単年度契約が多く、不安定な生活レベルといえます。(参考値:単年度契約で年収200万円~400万円程度)そのことから、男性の心理カウンセラーが、その業務収入で家族を養う生計を維持することは困難レベルといわれています。

 独立経営の心理カウンセリングルームの心理カウンセリングには医療保険が適用されないため、経営維持には、適正な人件費コスト支出からは、心理カウンセリング料金は高額設定となります。安定経営のために必要な料金設定は、経営収支からは50分間ほどで15,000円程度の高額な設定となっています。
しかし、クライアントが利用しやすい料金設定とすることから、この料金を下回る料金設定のケースが多いため、心理カウンセラーの年収は極めて低い状況にあります。そのため、メンタルケアの社会インフラサービスとして、民間によるカウンセリングルームの安定経営は非常に困難な現状で、心理職員が正規社員として採用されることは少なく、他の副業を重ねることや、数か所のカウンセリングルームと業務委託契約するなどの不安定就労の状況にあります。

心理カウンセリンセラーを目指して勉強に励む女の子

 独立経営の心理カウンセリングルームの経営上においては、大手企業の従業員メンタルヘルス契約を受注することや、官公庁・自治体の職員向けメンタルヘルス契約公共入札で落札することで、活路を見出す経営者が多い中であっても、競合過多によって落札する心理カウンセリング単価が低いことで、心理職メンバーを専従社員として採用することは非常に困難な状況があります。心理カウンセラー自体が、人的な時間労働であり、一人当たりの稼働できる一日のカウンセリング数には上限があり、一人のあたりの正社員としての人件費コストを捻出することは困難なケースが多いといえる現状があります。

将来の社会を担う子供たち

医療保険の適用がないため、経営上において可能な範囲で、利用者がカウンセリングを利用しやすい低額設定とすることが過剰となると、カウンセリングルーム賃料や必要経費として心理職員の適性人件費を賄うための経費を捻出することができない状況に至ります。その結果、心理師を正社員として採用する人件費の確保は難しく、心理カウンセリングルームを経営的に開設する心理職は職業的に不安定で低報酬となり、安定した職業自立が難しい状況といえます。

この状態は、社会貢献を目指して大学院で臨床心理学修士学を取得してまでも勉学を続け、将来的に不安定な心理職を目指すことを選択する若者の数は、将来的には暫時減少することが予測されます。これは民間資格である臨床心理士制度がスタートした4半世紀以上前から、期待されつつも、生活困窮するカウンセラーの多さが現実の実像を物語っています。
この状況は、介護職の場合と同様で、社会貢献を目指して、大学で社会福祉学を専攻し、介護現場に就職したものの、低賃金のため結婚を諦め家庭を持つことを諦め、複数の職場を掛け持ちするほど、生活に苦労する正規介護職員と同様の将来を予見させられます。これから心理職を目指す若者たちが将来に直面するであろう困窮する生活を、多くの関係者が懸念しています。

子ども達の教育現場の幼児スクールの風景

この四半世紀も昔から同様の状況が続いていますが、日本の各分野で活躍する心理カウンセラーには女性が多く従事しており、大半の方々はご主人を主とした家計収入で生計を維持し、妻が副業的に心理師業務で活躍するケースが圧倒的に多い現状があります。それは、男性の心理職では妻子を養う安定した生活が望めないことを物語っています。
この少子高齢化社会において、今後の未来を担う若者たちが、社会のためにメンタルケアを担う心理職を目指して、学費を投じて大学院の修士コースである臨床心理学を学び、メンタルケアの世界で職業としての心理職に就き、その専従収入で家族を立派に安定して養える未来がくることを切に祈ります。

「必要なときに、受けたい場所で、適切な心理カウンセリング支援が受けられる社会へ!」(公認心理師協会から厚労省への要望書)

 メンタルケアの先進国の米国では古くはベトナム戦争、近年ではイランやアフガニスタン戦争からの帰還兵のPTSDなどへの対応が精神科医のみでは対応できず、メンタルケア制度の充実が求められたメンタルケアの背景や、日本と同様アルコールや薬物依存症が若年化して広がりを見せたこと、メンタル不調による自殺者数の急増など、現在の日本の状況に酷似した時代背景があります。その状況を経て、米国における民間の独立経営の心理職による外来心理カウンセリングは医療保険の対象となっています。それにより、利用者は低料金で身近に心理カウンセリングを利用することが可能です。

カウンセリング場面の男性クライアントと女性カウンセラー

さらに、最近ではオンライン・ビデオ心理カウンセリングも医療保険の対象となっています。そのことは、多くの一般の方々は、メンタルヘルスのプライマリケアの観点で、日常の困りごとや悩みによるストレス対策のために、いつでも医療保険で気軽に心理カウンセリングが受けられる制度が機能しているといえます。

すがすがしい気分の女性

米国では、医療保険制度に加入している一般の方々は、職場や家庭で悩みを抱えてしまうような困り事が生じた時に、気軽に心理カウンセリングを利用できます。そこでは、困り事の対処方法を心理的な知見でアドバイスを受けたり、解決のための自己理解を促進し、必要な対人スキルを向上させる、気づきを得る機会が社会的に提供されています。

心理カウンセリングで、晴れ晴れした気持ちになったクライアント

しかし、日本では医療保険の適用外のため、気軽に心理カウンセリングを利用して、困り事を相談できる状況にはありません。さらに、現代社会は核家族化が進み、地域社会のご近所とのつながりも希薄になり、昭和の時代のように近所の先輩や年長者に相談したり、身近な友人、家族や親戚に気軽に相談すること自体が容易ではない時代となっています。そのために、新たな社会問題として、インターネットのSNSに悩み相談を投稿する未成年が、犯罪集団に巻き込まれる事件が増えています。信頼できる高度専門的な心理カウンセリング支援を気軽に利用できないことで、ストレスフルな生活を余儀なくされていることで、新たな問題を引き起こしている日本社会の現実があります。

日常的な悩みの対処やストレスケアが必要な、精神疾患の初期症状には向精神薬の投薬は、副作用リスクがあるため慎重に処方し、多剤投与と長期投与を避けることで、投薬の安全性を確保することが世界標準となっています。それが、心理カウンセリングを第一処方とする、海外における安全な医療制度へと結びついているといえます。

心理カウンセリングで、晴れ晴れした気持ちになった女性の姿

日本においても、心理カウンセリングが医療保険の対象となることで期待される効果として、投薬量の大幅削減による医療費の削減効果、および日本社会が抱える自殺や児童虐待などの各種の心理社会的な諸問題への支援拡大による防止効果に結びつくことが期待されます。
日本における臨床心理職の国家資格である公認心理師の公益団体である公認心理師協会では、スローガンとして、「必要なときに、受けたい場所で、適切な心理カウンセリング支援が受けられる社会へ!」を掲げて、心理カウンセリングの医療保険の適用の必要性を社会に訴えており、関連議員連盟に要望を提出し、厚生労働省への働きかけを促進しています。

ギリシャの朝日

未来社会にむけて、活躍している全ての世代が安心して暮らせるために、誰もが心理カウンセリングを気軽に利用できる社会が到来することを切望しています。

執筆者紹介:
長谷川メンタルヘルスケアセンター 代表 長谷川裕通

参考情報:厚生労働省への要望書(日本心理職協会)、
長谷川メンタルヘルスケアセンターの紹介
長谷川裕通のプロフィール紹介
出版書籍の紹介